研究課題/領域番号 |
23K18233
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柳下 淳 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任助教 (20626676)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 核医学 / 多核種 / in vivoイメージング / SPECT / がん不均一性 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は宇宙観測技術を応用することで複数のトレーサーによる高空間分解能生体イメージングシステムを開発した。このシステムを用いて、担癌マウスにおけるがん不均一性の観察、特にがん幹細胞を含むがんheterogeneityのin vivo分子イメージング法の確立を試みる。さらに、細胞死や低酸素状態などの表現型・機能の同時イメージングや治療によるがん不均一性の経時変化の観察を試みる。
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研究実績の概要 |
多核種を判別可能な能力を有する高空間分解能SPECTシステムを用いてがんheterogeneityの生体イメージングを試みた。heterogeneityとしてがん幹細胞、EGFR発現細胞を個々のトレーサーを用いてマルチ・トレーサーイメージングを行うことを試みた。 がん細胞株の選定:幹細胞マーカーとしてxCT、CD44v9の2つに注目した。頭頸部癌細胞株ではこれらのがん幹細胞マーカー陽性かつEGF陽性となる細胞株があり、個々のマーカー陽性細胞の分布が異なることがあり、本研究の良いモデルとなる。発現データよりEGFR高発現細胞をピックアップし細胞を購入後、フローサイトメトリーにてxCT, CD44v高細胞株(および無発現)を3つ同定した。これらの細胞株を用いて担がんマウスを作成した。 EGFR抗体のキレーターによる放射性ラベリング:抗EGFR抗体であるセツキシマブを購入し、DOTAをconjugateすることでIn-111, Ga-67によるラベリングでのイメージングを計画した。DOTA-NHSエステルを抗体に対し、1:4から1:100のモル数比で混和させ生成したのち任意のIn-111と混和させラベリングすることで高い比放射能の抗体を効率よく得られる条件を決定した。得られた抗体を用いて担がんマウスによるイメージングを行い、最適な投与量および撮像タイミングを決定した。 抗体のI-125(I-123)によるラベリング:Pierce Iodination Tubesを購入しI-125による抗体のラベリングを行い、良好な結果が得られることを確認した。 xCT小分子プローブの合成:xCTに対する小分子にアルブミンバインダー構造を付加することでxCT症分子プローブを合成した。アルブミンバインダー構造内にはヨウ素を含んでおり、ヨウ素の部位をトリブチルすずとしたものを前駆体として合成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生体イメージングに耐えうるがん細胞株を同定することができた。がん幹細胞およびEGFR陽性細胞に対するプローブは少なくとも1つずつは確保が可能であることを確認した。さらに、もう一つのプローブとして低酸素プローブが追加可能であり、合成方法についても確認した。シミュレーションからはがん幹細胞がある程度の大きさのクラスター(もしくは局在の偏り)を形成していればがん幹細胞とEGF発現細胞の分布の違いのイメージングは可能であることを確認でき、選定したがん細胞株のゼノグラフトの組織像からはがん幹細胞がある程度の大きさのクラスターを形成することを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
がん幹細胞プローブ単剤による生体イメージングを行い、最適なプローブ分子(抗体、小分子)、最適なラベリング核種、比放射能、撮像スケジュールを確認する。その後にがん幹細胞プローブとEGFRプローブを用いて担がんマウスの生体イメージングを行い、組織像とSPECTとの対比を行う。(minimum success) さらに、抗がん剤による治療によりがん幹細胞とEGFR陽性細胞がどの様な比率で変化するかを観察する。また、低酸素プローブを追加することで3核種3プローブによる生体イメージングも試みる。
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