研究課題/領域番号 |
23K18235
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
平田 英周 金沢大学, がん進展制御研究所, 准教授 (40761937)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | グリオーマ / ミクログリア / マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
グリオーマ関連ミクログリア・マクロファージ(glioma-associated microglia and macrophage:GAM)は悪性グリオーマ組織の30-50%を占めており有効な治療標的として期待されているが、その制御機構には不明な点が多い。本研究提案では応募者が独自に開発したin vitroでの初代培養グリア細胞培養法を応用し、GAMの機能制御の分子機構解明に挑む。特にグリオーマ貪食能を指標とした細胞選択アッセイと薬剤スクリーニングによりGAMをグリオーマ促進性から抑制性へと変換し得る分子・シグナル伝達経路を同定し、これを標的とした治療戦略の可能性をマウスモデルを用いて検証する。
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研究実績の概要 |
ホタルルシフェラーゼ(Luc)および赤色蛍光タンパク(RFP)を発現するマウスグリオーマ細胞株GL261-Luc-RFPを、緑色蛍光タンパク(EGFP)を発現する同系マウスC57BL/6-CAG-EGFPの脳内に移植し、14日目にIVISにて腫瘍の形成を確認した。この脳組織から実体顕微鏡下にグリオーマ組織を摘出し、gentleMACS dissociatorを用いて細胞を分離したのち、コラーゲンゲル中にて3次元混合培養を行った。この混合培養中からCD11b抗体ビーズを用いてGAMを単離することは可能であったが、これを単独培養して増殖させることは困難であった。そこで混合培養条件のまま継代を行ったが、培養開始からわずか1週間でGL261-Luc-RFPが優勢となり、GAMの培養継続は困難となった。現在、細胞単離時および培養開始後にFACSにてRFP陽性細胞を除去し、混合グリア細胞培養を確立したのちにGL261-Luc-RFPと再混合して培養を開始する実験プロトコルの最適化を行っている。また混合グリア細胞培養開始直後にレトロウイルスベクターを用いてSV40 large T antigenを導入し、不死化GAMを樹立することで同様の実験を行うプロトコルの最適化も行っている。更に、上記の研究と並行してマウス胎仔脳組織から樹立した混合グリア細胞を培養し、これを不死化してミクログリアのみを単離・培養する手法の開発に成功した。現在、この不死化ミクログリア(CVMG-EGFP-SV40LT)とGL261-Luc-RFPをin vitroにて共培養し、グリオーマ貪食能を高めたミクログリアの樹立を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスグリオーマモデルからのGAMの直接分離による単独培養は予想通り難しく、またグリオーマ細胞とグリア細胞の混合培養系からの単離実験プロトコルの最適化にも時間を要している。しかしながら不死化グリア細胞からのGAMの単離や、マウス胎仔脳組織由来不死化ミクログリアの単離培養に成功しており、引き続き研究計画に沿った実験の遂行が可能と判断される。
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今後の研究の推進方策 |
グリオーマ細胞と不死化GAMおよびマウス胎仔脳組織由来不死化ミクログリアとのin vitro共培養実験からグリオーマ貪食性GAMの回収と再共培養を繰り返し、グリオーマ貪食能を高めたGAM・ミクログリアを樹立する。この機能をライブイメージングにて確認しつつ、GAM・ミクログリア親細胞との比較遺伝子発現解析によって、グリオーマ貪食能を規定する分子・シグナル伝達経路を描出する。同時に不死化GAMをグリオーマ貪食性へと変換するシグナル経路の同定を目標とした薬剤スクリーニングを行う。これらによって同定した分子・シグナル伝達経路を標的とした治療法の効果を、マウスグリオーマモデルを用いて検証する。
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