研究課題/領域番号 |
23K18237
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
後藤 典子 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (10251448)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | がん微小環境 / 乳がん / がん幹細胞 / 再発 / 転移 / 腫瘍微小環境 / 予防 |
研究開始時の研究の概要 |
乳がんの再発転移の仕組みが未解明のため、再発転移を効果的に予防できる治療法はない。本研究では、少数のがん細胞と、機能不全となった微小環境との相互作用を解析し、悪性の再発がん細胞が生み出される仕組みを解明することを、大きな目標とする。これを制御する鍵分子を標的とし、再発転移を効果的に予防できる革新的な治療法の確立を目指す。 乳腺特異的にHER2/ErbB2を過剰発現する乳がんモデルマウスMMTV-ErbB2と、応募者が作出した細胞内シグナル分子FRS2betaのノックアウトマウスとの交配マウス(MMTV-ErbB2/Frs2beta-/-)が、「再発転移模倣モデルマウス」であり、これを活用する。
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研究実績の概要 |
本研究では、少数のがん細胞と、機能不全となった微小環境との相互作用を解析し、悪性の再発がん細胞が生み出される仕組みを解明することを、大きな目標とする。これを制御する鍵分子を標的とし、再発転移を効果的に予防できる革新的な治療法の確立を目指す。 FRS2betaノックアウト乳腺は、治療による損傷を受けて機能不全となった微小環境をよく模倣している。休眠期に少数のがん細胞と相互作用し、最終的に悪性度の高い再発がんに似た細胞を生み出す。このがん細胞は、乳腺微小環境に依存せずに強く増殖するため、肺など遠隔臓器への転移を起こす。 FRS2betaノックアウトは優れた「再発転移模倣モデル」である。本年度は、休眠期と再発模倣期の腫瘍細胞を用いた網羅的遺伝子発現解析、並びに微小環境を構築する乳腺組織の細胞(乳腺細胞、間質細胞、免疫細胞、血管内皮細胞など)を取り出してシングルセルRNAシークエンスを行なった。 Seuratプラットフォームを用いたバイオインフォマティクスを行ったところ、乳腺細胞、間質細胞、免疫細胞、血管内皮細胞が別のクラスターに分けられることを確認した。FRS2beta野生型マウスとノックアウトマウス乳腺を調べたところ、野生型乳腺には間質細胞が大量に浸潤していたが、ノックアウトマウス乳腺には間質細胞の浸潤がわずかであった。また、免疫細胞をさらにクラスタリングして調べたところ、それぞれに特徴的な分画が存在することがわかった。更なる解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.乳腺微小環境のシングルセルRNAシークエンスおよび空間トランスクリプトーム 1と同じ時系列で乳腺組織を取り出し、10,000個の細胞を用いて10xGenomicsを用いたシングルセルRNAシークエンスを行なった。Seurat (https://satijalab.org/seurat/)を用いて、細胞群をクラスター化し、微小環境を構成する細胞種 (乳腺前駆細胞、乳腺細胞、間質細胞、免疫細胞、血管内皮細胞)を特定した。パスウエイ解析を行い、Frs2beta-/-マウスにおいて変動があるパスウエイ、鍵分子候補を抽出する。 2.Visium systemを用いた空間トランスクリプトーム (8,000遺伝子/50 mm2を解析可能)を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
シングルセル解析と空間トランスクリプトーム解析を統合し、鍵分子候補を見出す。 鍵分子候補の機能解析は、CRISPR/Cas9を用いたノックアウトなどを行い、乳腺及びオスマウス胸部皮下移植の系、ヒト乳がんオルガノイド、PDXモデルを用いて詳細に行う。免疫制御を行う因子の場合は、臍帯血を用いたヒト化PDXモデルを作成して評価を行う。
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