研究課題/領域番号 |
23K18246
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
稲村 健太郎 公益財団法人がん研究会, がん研究所 病理部, 主任研究員 (40442545)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 腫瘍内細菌 / マイクロバイオーム / がん微小環境 / 転移 / 人体病理学 / 微生物 / 16S rRNA / 病理標本 |
研究開始時の研究の概要 |
多くのがん腫に腫瘍内細菌が存在するとともに、腫瘍内細菌が腫瘍細胞とともに転移することがわかってきた。腫瘍内細菌が転移におよぼす影響については、実験レベルではエビデンスが蓄積しつつあるが、臨床レベルの知見は乏しい。本研究では、組織切片上で腫瘍内細菌と遺伝子発現を可視化して、転移を誘導する腫瘍内細菌とその機序を同定する。さらに、全身の組織を調べ、同定した細菌の体内分布や由来、がん細菌ネットワークにおける位置づけを明らかにする。本研究を達成することにより、転移性がんの細菌標的治療戦略に応用できる礎を築くとともに、腫瘍の転移機構の解明に貢献したい。
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研究実績の概要 |
多くのがん腫に腫瘍内細菌が存在するとともに、腫瘍内細菌が腫瘍細胞とともに転移することがわかってきた。腫瘍内細菌が転移におよぼす影響については、実験レベルではエビデンスが蓄積しつつあるが、臨床レベルの知見は乏しい。本研究では、転移巣における腫瘍内細菌に注目し、転移を誘導する腫瘍内細菌とその機序を探索する。 がん細胞内に存在する細菌が細胞骨格を調整することで、血中おける生存率を向上させ転移を誘導することを見出した論文について、Letter to the Editorを執筆した(Koyama K, Inamura K. Tumor-resident intracellular bacteria benefit metastasis. Ann Transl Med. 2023)。 がん研有明病院で切除された大腸がん肝転移巣約250例の患者背景、術前治療の種類や効果、病理学的検討による治療効果、腫瘍の病理組織学的特徴、再発・予後に関する情報をふくむデータベースの構築が完了した。切除検体から構築された組織マイクロアレイをもちいて各種免疫細胞マーカーの免疫染色を施行し、腫瘍免疫微小環境を特徴化した。 大腸癌肝転移巣切除検体から抽出した核酸を16S rRNAシーケンスすることにより、腫瘍内細菌のプロファイリングを進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
がん研有明病院で切除された大腸がん肝転移巣約250例の患者背景、術前治療の種類や効果、病理学的検討による治療効果、腫瘍の病理組織学的特徴、再発・予後に関する情報をふくむデータベースの構築が完了した。切除検体から構築された組織マイクロアレイをもちいて各種免疫細胞マーカーの免疫染色を施行し、腫瘍免疫微小環境を特徴化した。切除検体から抽出された核酸をもちいて腫瘍内細菌のプロファイリングを進めている。同定された腫瘍内細菌プロファイルをもとに、転移機構との関連を探索する予定であり、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
大腸がん肝転移などの転移巣に存在する腫瘍内細菌を16S rRNAシーケンスやRNA ISHにより同定する。組織切片上で腫瘍内細菌と遺伝子発現を可視化することにより、転移を誘導する腫瘍内細菌とその機序を探る。また転移巣の腫瘍内細菌が産生する毒素にも注目し、全身免疫、腫瘍免疫微小環境、転移パターンとの関連を明らかにする。
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