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リピート領域も包括したオミクス解析法による新たな細胞の特徴と機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K18247
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分50:腫瘍学およびその関連分野
研究機関公益財団法人がん研究会

研究代表者

宮田 憲一  公益財団法人がん研究会, がん研究所 がんエピゲノムプロジェクト, 特任研究員 (20816938)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
キーワードリピート領域
研究開始時の研究の概要

近年、次世代シークエンシング技術の目覚ましい進歩により、ゲノムワイドなオミクス解析が盛んに行われているが、リピート領域は解析時に除外されてしまう。ゲノムの半分以上を占めるリピート領域を考慮しない解析法は、細胞の特徴を正確に記述できているとは言い難い。申請者はこの重大な欠点を解決するために、リピート領域のシグナルも解析アルゴリズムに組み込んだ画期的な新規オミクス解析技術を開発した。そこで本研究では、リピート領域シグナルも解析できる手法を基盤とした、真のゲノムワイド解析を行うことで細胞のアイデンティティを正確に炙り出すことを目的としている。

研究実績の概要

近年の次世代シークエンシング技術の飛躍的な進展により、ゲノムワイドなオミクス解析が広範囲に行われるようになっている。しかしながら、現在の解析プロセスでは、ゲノムの半分以上を占めるリピート領域がしばしば解析から除外されてしまう。ゲノムの半分以上を占めるリピート領域を考慮しない解析法は、細胞の特徴を正確に記述できているとは言い難い状況である。申請者はこの重要な問題を解決するために、リピート領域のシグナルも解析アルゴリズムに組み込んだ新規オミクス解析技術RepATACR法(Repeat-integrated scATAC-seq Reanalysis)を開発した。この技術は、リピート領域を含む全ゲノムデータを活用することで、細胞のアイデンティティをより詳細に解析できると考えられる。そこで本研究では、リピート領域シグナルも解析できるRepATACR法を基盤とした、ゲノムワイド解析を行うことで細胞のアイデンティティを新たな視点から炙り出すことを目的としている。具体的には、当研究室が保有している複数のサブタイプの乳がん検体に対して実施した単一細胞エピゲノムデータに対して、RepATACR法を基盤とした再解析を行い、特に、通常の解析法では困難である同じクラスター等に分類される細胞について、リピート領域を考慮した解析により、どのような差異が含まれているのかについて解析を行う。さらに、本解析により新たに明らかとなった現象や生まれた仮説をWET実験により検証を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は計画通り、当研究室が保有している複数のサブタイプの乳がん検体に対して実施した単一細胞エピゲノムデータ(scATAC-seq)に対して、RepATACR法を基盤とした解析を行った。興味深いことに、同じクラスターに分類された類似したクロマチンアクセシビリティを有する乳がん細胞及び間質細胞において、リピート領域のクロマチンアクセシビリティ状態にバラツキが確認された。さらに、同じクラスターに分類された細胞を抽出し、リピート領域のクロマチンアクセシビリティの強弱レベルでリクラスタリングした結果、特定のリピート領域の強弱レベルで炎症関連遺伝子群に転写活性に有意な差が見られた。これらの結果から、リピート領域のシグナルも組み込んだRepATACR法は、通常のクラスタリング法では見られなかった新しい細胞の特徴を見出すことができる方法であることが示された。また、リピート領域のクロマチンアクセシビリティレベルは、乳がん患者のサブタイプとは関連が見られなかったが、年齢と相関し、細胞増殖マーカーと逆相関する傾向も見られた。尚、リピート領域のシグナルが検出されない細胞もいたが、リピート領域のシグナルが検出された細胞とそうでない細胞でscATAC-seqのクオリティ値には差は見られなかったため、細胞の品質が悪いためにシグナルが検出されていない可能性は低いと考えられ、RepATACR法を基盤とした解析により新たな細胞の特徴が明らかとなった。
以上の成果より、本研究はおおむね順調に進展していると判断される。

今後の研究の推進方策

次年度は、本年度乳がん検体エピゲノムデータに対して実施したRepATACR法を基盤とした解析結果から明らかとなった現象をWET実験により検証を行う。具体的には、特定のリピート領域の活性化若しくは抑制により、その制御候補遺伝子群の転写活性に与える影響を検証することを検討している。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Targeting DHX9 Triggers Tumor-Intrinsic Interferon Response and Replication Stress in Small Cell Lung Cancer2024

    • 著者名/発表者名
      Murayama Takahiko、Nakayama Jun、Jiang Xinpei、Miyata Kenichi、Morris Alexander D.、Cai Kathy Q.、Prasad Rahul M.、Ma Xueying、Efimov Andrey、Belani Neel、Gerstein Emily R.、Tan Yinfei、Zhou Yan、Kim William、Maruyama Reo、Campbell Kerry S.、Chen Lu、Yang Yibin、Balachandran Siddharth、Ca?adas Israel
    • 雑誌名

      Cancer Discovery

      巻: 14 号: 3 ページ: 468-491

    • DOI

      10.1158/2159-8290.cd-23-0486

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Chromatin conformational changes at human satellite II contribute to the senescence phenotype in the tumor microenvironment2023

    • 著者名/発表者名
      Miyata Kenichi、Zhou Xiangyu、Nishio Mika、Hanyu Aki、Chiba Masatomo、Kawasaki Hiroko、Osako Tomo、Takeuchi Kengo、Ohno Shinji、Ueno Takayuki、Maruyama Reo、Takahashi Akiko
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences

      巻: 120 号: 32

    • DOI

      10.1073/pnas.2305046120

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] YBX1 Regulates Satellite II RNA Loading into Small Extracellular Vesicles and Promotes the Senescent Phenotype2023

    • 著者名/発表者名
      Chiba Masatomo、Miyata Kenichi、Okawa Hikaru、Tanaka Yoko、Ueda Koji、Seimiya Hiroyuki、Takahashi Akiko
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 24 号: 22 ページ: 16399-16399

    • DOI

      10.3390/ijms242216399

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] FOXD1 is associated with poor outcome and maintains tumor-promoting enhancer?gene programs in basal-like breast cancer2023

    • 著者名/発表者名
      Kumegawa Kohei、Yang Liying、Miyata Kenichi、Maruyama Reo
    • 雑誌名

      Frontiers in Oncology

      巻: 13

    • DOI

      10.3389/fonc.2023.1156111

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Analysis of the effect of epigenetic abnormalities on cancer cell diversity2023

    • 著者名/発表者名
      宮田憲一、丸山玲緒
    • 学会等名
      第82回 日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Intratumoral Heterogeneity in Patient-Derived Breast Cancer Organoids: Identifying Shared and Unique Cellular States2023

    • 著者名/発表者名
      佐伯澄人、粂川昂平、高橋洋子、大迫智、亜森馬合木特、尾辻和尊、宮田憲一、鈴鹿淳、尾崎由起範、高野利美、野田哲生、大野真司、八尾良司、上野貴之、丸山玲緒
    • 学会等名
      第82回 日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] オルガノイドのマルチオミックス解析による膵癌遠隔転移可塑性メカニズムの解明2023

    • 著者名/発表者名
      古川貴光, 宮田憲一, 柴田智華子, 楊麗英, 粂川昂平, 佐伯澄人, 三重尭文, 岡本武士, 武田剛志, 春日章良, 佐々木隆, 尾阪将人, 笹平直樹, 野田哲生, 丸山玲緒
    • 学会等名
      第82回 日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 転移能を有する乳がん由来オルガノイドの異種移植における腫瘍内不均一性の評価2023

    • 著者名/発表者名
      土屋あい, 粂川昂平, 佐伯澄人, 尾辻和尊, 楊麗英, 鈴鹿淳, 宮田憲一, 高橋洋子, 野田哲生, 大野真司, 井本滋, 上野貴之, 丸山玲緒
    • 学会等名
      第82回 日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-07-04   更新日: 2024-12-25  

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