研究課題/領域番号 |
23K18253
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分51:ブレインサイエンスおよびその関連分野
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桑原 知樹 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (10533903)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | シヌクレイノパチー / αシヌクレイン / ミクログリア / 脳オルガノイド / LRRK2 |
研究開始時の研究の概要 |
シヌクレイノパチーは、異常凝集したαシヌクレインの細胞間伝播と、それに伴う神経障害が関わるとされる神経変性疾患である。本研究では、ヒトiPS細胞由来のミクログリアを含む大脳・中脳オルガノイドを作出し、さらにαシヌクレイン凝集核を導入することで、新規のシヌクレイノパチーモデルとして凝集核導入最初期における伝播の機構や細胞応答機構を解明することを目指す。また、ミクログリアやパーキンソン病関連因子LRRK2の機能、またその機能調節をもたらすリソソームストレスの効果に着目し、それらの関与について明らかにする。
|
研究実績の概要 |
αシヌクレイン凝集核を実験的に齧歯類脳内に接種すると、凝集核が速やかに広範囲に分布したのち一旦消失し、数ヶ月後に蓄積病変が出現するが、最初期の分布がもたらされる機構や、分布先で生じる細胞内での変化は明らかではない。一方、我々は凝集核を取り込んだ細胞からの速やかな周囲への再放出にミクログリアが関わること、その際にミクログリアにおけるLRRK2の活性化やその活性を介したリソソームの細胞外放出、および炎症応答が誘導される可能性を見出していた。本年度はまず、このようなミクログリアの応答がヒトiPS細胞由来ミクログリアにおいても認められるかを検討した。特に、LRRK2の家族性パーキンソン病連鎖変異を有するiPS細胞と、LRRK2遺伝子型を野生型に戻したiPS細胞からミクログリアを作出し、性質の比較解析を行った。結果は意外にもLRRK2の活性が高いと思われるLRRK2変異ミクログリアのほうがリソソーム細胞外放出などのLRRK2関連の表現型が弱く、iPSミクログリアにおいては未知のLRRK2変異効果があるものと考えられた。 また、実験に使用するαシヌクレイン凝集体についても変異効果を確認した。野生型、A53T変異型に加えて、比較的近年同定されたG51D変異型について、まずマウス脳における検討を行った。最初期の凝集核の分布はどの型も同程度であったが、G51D変異型は既報とも一致して神経毒性が高い傾向があり、G51D型の使用が今後有用である可能性が考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
いくつかの実験条件検討に時間を要し、脳オルガノイドを用いた解析には至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに作出したiPS細胞由来ミクログリアと、共同研究により作出する脳オルガノイドの共培養系を確立し、基本的な性状解析を行うとともにαシヌクレイン凝集体の伝播様式の解析を進める。細胞内において最初期に生じる変化について、既知因子に着目するとともに未知因子の変動についてより網羅的に解析を行う。
|