研究課題/領域番号 |
23K18254
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分51:ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北西 卓磨 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (90722116)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | BMI / 神経多様体 / 海馬 / デコーディング / 大規模神経活動計測 / 多様体 |
研究開始時の研究の概要 |
脳と機械を接続するブレイン・マシン・インターフェースの中核技術は、神経活動から情報を解読するデコーディングである。脳に電極を埋植する侵襲型デコーディングは、デコーディングの精度・時間安定性・個体間の転移性などに課題をかかえている。また、高次脳領域が保持する多彩な認知情報のデコーディングは実現されていない。そこで本研究は、げっ歯類の海馬体を対象に、多点電極による大規模神経活動計測と神経多様体に着目した独自の解析技術を組み合わせることで、高精度・時間安定・個体間転移可能で、かつ、多様な空間認知情報を読みだせる高性能デコーディング技術を開発する。これにより「認知脳情報デコーディング技術」を創出する。
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研究実績の概要 |
脳と機械を直接に接続するブレイン・マシン・インターフェース (BMI) は、次世代サイバネティクス技術として注目されている。BMIの中核は、神経活動から情報を解読するデコーディングである。これまで、脳に電極を埋植する侵襲型デコーディングは、大脳皮質の運動野から運動意図を解読することに注力してきた。こうした研究は、神経活動によるロボットアームの操作を実現するなどの成果を挙げてきた一方で、デコーディングの精度・時間安定性・個体間の転移性などに課題をかかえている。また、解読の対象とする脳領域はおもに一次運動野に限られており、高次脳領域が保持する多彩な認知情報のデコーディングは実現されていない。たとえば、空間記憶に重要な脳領域である海馬体には、動物のいる場所・道順・移動速度・周囲の壁や物体など、空間認知に関与する多彩な情報が表現される。こうした情報を高い精度で読みだす「認知デコーディング」が実現できれば、BMIの応用可能性は飛躍的に拡大する。そこで本研究は、げっ歯類の海馬体を対象に、(i) 多点電極による大規模神経活動計測と (ii) 神経多様体に着目した独自の解析技術を組み合わせることで、高精度・時間安定・転移可能で、かつ、多様な空間認知情報を読みだす高性能デコーディング技術を開発することを目的とする。2023年度は、海馬台の神経細胞集団の発火活動が低次元神経多様体を構成し、この神経多様体から動物の多様な行動をデコーディングできることを明らかにし、この成果について論文発表をおこなった (Nakai, Kitanishi*, Mizuseki*, Sci Adv, 2024)。さらに、海馬台の局所フィールド電位 (LFP) からも動物の位置をデコードできることを明らかにし、これについて詳細な検討を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、海馬体から多様な情報を解読する高性能デコーディング技術を開発することを目的としている。今年度は、海馬台の神経細胞集団の発火活動から動物の多様な行動をデコーディングできることを明らかにし、この成果について論文発表をおこなった (Nakai, Kitanishi*, Mizuseki*, Sci Adv, 2024)。さらに、海馬台の局所フィールド電位 (LFP) からも動物の位置をデコードできることを見出した。こうした進捗から、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に見出した、海馬台の局所フィールド電位 (LFP) から動物の位置をデコードできるという知見について詳細な検討をおこない、デコーディング技術を高度化する。具体的には、デコーディングの精度・時間安定性・転移可能性などについて評価をおこない、これらの評価項目について改善が必要であればデコーダーの高度化を進める。
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