研究課題/領域番号 |
23K18259
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分52:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
安井 博宣 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (10570228)
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研究分担者 |
稲波 修 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (10193559)
平田 健司 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (30431365)
久下 裕司 北海道大学, アイソトープ総合センター, 教授 (70321958)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | セノリティクス / 腫瘍 / イメージング / ラジオミクス |
研究開始時の研究の概要 |
細胞老化は永続的な増殖停止と老化関連分泌現象という相反する事象を含むため、がん治療標的とするのは難しい。本研究では、近年着目されている老化細胞除去(セノリティクス)治療を組み合わせた新しいがん治療法が適用可能な症例、患者を選択するために、核医学画像技術を駆使した非侵襲的老化細胞検出法を開発することを目的とする。具体的には、腫瘍特異的なセノリティクス治療法の開発、DNA損傷・修復を標的とした新規老化プローブの開発、ならびに既存の核医学プローブ画像のラジオミクス解析による老化領域検出法の解析を目指す。
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研究実績の概要 |
本課題では、「核医学画像技術を基盤とした老化細胞の非侵襲的解析法を開発し、老化誘導率の早期の判定と効果予測により、セノリティック薬をもちいた安全で高精度なセノリティクス治療を樹立することが可能か?」という学術的問いに対して、近年着目されている老化細胞除去(セノリティクス)治療を組み合わせた新しいがん治療法が適用可能な症例、患者を選択するために、核医学画像技術を駆使した非侵襲的老化細胞検出法を開発することを目的とする。 初年度では、(1)老化誘導とセノリティック薬を組み合わせた新規がん治療技術の開発について検討した。 老化誘導刺激として放射線照射を選択し、マウス扁平上皮癌SCCVIIおよびマウス乳がんMBT-2細胞に対して照射を行ったところ、5 Gy、10 Gyともに経時的に老化細胞の割合が増加した。次に、セノリティック薬として、抗腫瘍免疫に関連するcGAS-STING経路に対して阻害効果を示す薬剤(未発表につき非公開)を処理したところ、放射線増感効果及び高濃度で細胞老化誘導の抑制が観察された。一方で、これまで報告のあるBcl阻害剤ABT-263とは異なり、cGAS-STING阻害剤が、放射線によって誘導された老化細胞をアポトーシスに変換しているような結果は得られず、既知のメカニズムとは異なる機構で細胞老化が抑制されていることが明らかとなった。以上のことより、放射線とcGAS-STING阻害の組み合わせが新しいセノリティック治療の候補となりうることを明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題の具体的な目標は、腫瘍特異的なセノリティクス治療法の開発、DNA損傷・修復を標的とした新規老化プローブの開発、ならびに既存の核医学プローブ画像のラジオミクス解析による老化領域検出法の解析である。初年度において、cGAS-STING経路の阻害と放射線を組み合わせることがこれまで報告のないセノリティクス治療の可能性を示したことから、次年度以降のプローブ開発の実験系を構築した意味でおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2年目の方策としては、引き続き、(1)老化誘導とセノリティック薬を組み合わせた新規がん治療技術の開発に関して、放射線照射によって起こる腫瘍内の老化細胞をセノリティック薬で除去することで、担がんマウスにおいて抗腫瘍効果が増強されるか判定する。また老化誘導および除去の程度は老化関連ガラクトシダーゼ活性を指標としたSA-β-Gal染色で、SASPは各種サイトカインに対するELISAにより評価する。また腫瘍内老化細胞をSA-β-gal染色により描出し、老化誘導の起点となる因子のスクリーニングを行う。
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