研究課題/領域番号 |
23K18262
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分52:内科学一般およびその関連分野
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
池内 健 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20372469)
|
研究分担者 |
原 範和 新潟大学, 脳研究所, 特任助教 (00775918)
月江 珠緒 新潟大学, 脳研究所, 技術職員 (70815737)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | バイオマーカー / アルツハイマー病 / グリア / 認知症 |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病には多様な病態が存在し,臨床症状や経過に個人差が存在する。最近,グリア細胞が病態に関与することが明らかにされている。本研究は,新たに解明されたアルツハイマー病におけるグリア細胞病態に着目し,グリア細胞を起点とするアルツハイマー病に対する次世代型バイオマーカーを創生することを目的とする。アミロイドβ (Aβ)とタウを標的とした従来の古典的バイオマーカーとは一線を画したアプローチにより,未解決であったアルツハイマー病の不均一性の分子機序の解決を目指す。
|
研究実績の概要 |
アルツハイマー病(AD)には多様な病態が存在し,臨床症状や経過に個人差が存在する。最近,グリア細胞が病態に関与することが明らかにされている。本研究は,新たに解明されたADにおけるグリア細胞病態に着目し,グリア細胞を起点とするADに対する次世代型バイオマーカーを創生することを目的とする。アミロイドβ(Aβ)とタウを標的とした従来の古典的バイオマーカーとは一線を画したアプローチにより,未解決であったADの不均一性の分子機序の解決を目指す。ミクログリアやアストロサイト等のグリア細胞関連バイオマーカーの開発が実現すれば,ADの次世代型診断体系が構築され,疾患の多様性に対する理解を変革できる可能性があり,社会的にみても必要性が高い。Aβからリン酸化タウ蓄積に至るアミロイドカスケードは,ADの治療薬開発の理論的背景となり薬剤開発が進められてきた。しかしながら,現在開発中の抗Aβ抗体薬は,Aβ蓄積を抑制することはできても,臨床的な改善効果は限定的である。一方,ADの病態に,ミクログリアやアストロサイトなどのグリア細胞が深く関与することが明らかにされている。ゲノムワイド関連解析で同定されたリスク遺伝子の多くは,ミクログリアに関連する遺伝子である。また剖検脳を用いたシングルセル解析では,A1と呼ばれるアストロサイトへの形質転換,DAM(disease-associated microglia)と呼ばれるミクログリアの遺伝子発現変動が生じることが明らかにされている。これらの知見は,グリア病態を把握することがアルツハイマー病の病態理解に重要であることを示唆しており,それを反映するバイオマーカーの開発が必要と思われる。このような背景のもと,ADで生じるグリア細胞病態に着目し,脳内グリア病態を反映する次世代型バイオマーカーを創生する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存の脳脊髄液サンプルを活用しグリア細胞病態を反映するバイオマーカーを探索した。バイオマーカーの測定値と臨床診断,認知機能検査,MCI(軽度認知障害)から認知症への進展との関連をインフォマティクスの手法により検討した。対象者は認知機能正常者,MCI,アルツハイマー病認知症である。認知機能検査,MRI,アミロイドPET,脳脊髄液バイオマーカーに関するデータがサンプルに紐付けられており,グリア関連バイオマーカーとの相関を検討した。さらに、MCIから認知症への移行,縦断的な認知機能スコアの変化とバイオマーカーとの相関を検討した。アストロサイトマーカー、ミクログリアマーカーに基づいた「バイオタイプ」分類を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
既存の脳脊髄液サンプルを活用しグリア細胞病態を反映するバイオマーカー探索を継続する。非アルツハイマー型認知症の脳脊髄液サンプルを対象に、アストロサイトマーカー及びミクログリアマーカーを測定する。臨床病型、認知機能スコア、脳MRIなどとの相関を検討する。
|