研究課題/領域番号 |
23K18274
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分52:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
原田 浩 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (80362531)
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研究分担者 |
小林 稔 京都大学, 生命科学研究科, 特定助教 (40644894)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | がん / 放射線 / 低酸素 / ストローマ細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍組織の多様な酸素環境の中で、がん細胞は非がん細胞と相互作用して複雑な細胞社会を形成している。これまでの研究で我々は、低酸素刺激を受けたがん細胞内で駆動する低酸素シグナルが放射線抵抗性を惹起することを報告してきたが、近年、非がん細胞における同シグナルの重要性も捉えつつある。本研究では独自の遺伝子改変マウスとイメージング技術で、非がん細胞の低酸素シグナルが腫瘍組織の放射線抵抗性に及ぼす影響に迫る。
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研究実績の概要 |
これまでの研究で申請者は、低酸素誘導性転写因子HIF-1を活性化する新規遺伝子網を同定し、低酸素刺激を受けたがん細胞が放射線治療抵抗性を獲得して再発する機序を解明してきた(Mol Cell 2021; Nature Commun 2012, 2015; JCI Insight 2021; Oncogene 2016, 2015, 2013, 2007; Cancer Res 2002. など)。と同時に予備検討を通じて、腫瘍組織内の非がん細胞(間質細胞=ストローマ細胞)における「HIF-1の異常な活性化」によって、がんの放射線抵抗性が影響を受ける可能性も見出している。しかし、線維芽細胞・免疫系細胞・炎症系細胞・血管系細胞など多岐に亘るストローマ細胞のうち、どの亜集団のHIF-1活性が腫瘍の放射線抵抗性に重要なのかは、解析の難しさ故に未解明である。申請者は近年、間質細胞のHIF-1活性を可視化できる独自の遺伝子改変マウス(BALB/c/5HRE-tdTomatoノックインマウス)とヘアレスマウス(HRマウス)を交配させ、この謎に迫るマウスモデルを独自に作成した。本研究ではこの研究資材を活用して以下の挑戦的研究を実施し、腫瘍組織のHIF-1をファインチューニングして放射線増感効果を得る基盤を構築することを目指した。 1)腫瘍組織内に浸潤した全ストローマ細胞における“HIF-1活性”の変動を時空間的に解析し、その変動に関する知見を収集した。 2)腫瘍内でHIF-1活性を獲得する“ストローマ細胞亜集団”を同定することを目指し、tdTomato陽性細胞が、いずれの間質細胞マーカーと共染色されるかを検証した。 以上、HIF-1活性を獲得する間質細胞を同定し、腫瘍内HIF-1活性をファインチューニングして放射線治療効果を増強する、「独自コンセプトに基づく挑戦的な萌芽研究」 を展開し、次年度に繋がる知見を収集することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
独自の遺伝子改変マウスを活用することで、腫瘍組織内に浸潤したストローマ細胞のHIF-1活性を特異的に検出する系を確立することができ、かつ、当該HIF-1活性の変動を捉えることができるなど、予定通りの研究を展開した。加えて、HIF-1活性を得るストローマ細胞の同定に向けた研究にも既に着手しており、当初の予定を上回って研究を展開していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
腫瘍組織内に浸潤し、HIF-1活性を獲得するストローマ細胞を同定し、それが腫瘍細胞の放射線抵抗性に及ぼす影響を、in vitro、in vivo双方の実験で解析する。
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