研究課題/領域番号 |
23K18308
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分55:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
臼井 丈一 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70447340)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 腎臓移植 / 老化 / GPNMB / 腎移植 / 高齢ドナー / 抗老化治療 |
研究開始時の研究の概要 |
腎移植ドナー不足を補足する高齢ドナー腎臓の若返りを目的とした2つの革新的治療法、高齢ドナー腎臓に対する(A)抗老化ワクチン、(B)抗老化CAR-T細胞療法の開発を目指す。(A)基盤実験としてマウス・ヒト腎臓でのGPNMB発現解析を行う。ワクチンを用いた高齢マウス腎臓の老化指標の評価の準備、予備実験を進める。(B)CAR-T細胞療法の準備として標的とする腎老化細胞の特異分子の同定を目指す。具体的には老化指標であるp16トレーサーマウス腎臓由来p16発現細胞の純化+RNA-seqを用いCAR-Tの標的分子候補を探索する。これらの実現により臓器若返りの可能性を検証する。
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研究実績の概要 |
申請者は科研費国際共同研究強化(B)、基盤研究(B)において高齢ドナー腎臓の若返りのメカニズム解明研究、加齢性内科疾患のメカニズム解明研究を手掛けており、現在ヒト移植腎臓組織サンプルのP16を中心とした老化指標のモニタリング研究を実施している(英文論文投稿中)。この基盤研究成果を元に、潜在的な腎機能低下を伴う高齢ドナー腎臓の機能回復を実現しより多くの高齢ドナー腎臓の移植活用を目指す。具体的には高齢ドナー腎臓に対する(A)抗老化ワクチン開発、(B)抗老化CAR-T細胞療法開発という2つの革新的な治療法開発のための基盤研究を進めている。(A)高齢ドナー腎臓に対する抗老化ワクチンの開発:すでに他領域で開発が進められているマウス抗GPNMBワクチンの活用を第一に考えヒト腎臓でのGPNMB発現を解析し、P16陽性老化細胞でのGPNMB共発現を確認を進めている。抗ヒトGPNMB抗体の組織染色条件設定は完了し、現在P16陽性老化細胞、酸化ストレスマーカーとの3重染色を進めている。(B)高齢ドナー腎臓に対する抗老化CAR-T細胞療法の開発:計画段階ではp16トレーサーマウス腎臓由来p16発現細胞の純化+single cell RNA-seqを用いCAR-Tの標的分子候補を探索する予定であったが、p16トレーサーマウスの使用や経費面を考慮し、ヒト老齢腎臓組織上のP16陽性老化細胞との多重組織染色(CODEX等)を用いた老化細胞マーカーの探索を行う予定とした。現在その準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していた海外研究施設への出張はCOVID-19感染や公務等に伴い、不可能であった。国内での実験、サンプル使用を中心に研究を進めた。(A)は計画通り、(B)は計画を修正することによりおおむね順調に進捗している。(A)高齢ドナー腎臓に対する抗老化ワクチンの開発に関しては、計画通りヒト腎臓でのGPNMB発現を解析中であり、令和6年度内に成果が明らかに出来ると思われる。(B)高齢ドナー腎臓に対する抗老化CAR-T細胞療法の開発に関しては、p16トレーサーマウスの解析から、ヒト腎臓P16老化細胞の多重染色に計画を変更とはなったものの、準備はおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
腎臓臓器老化のメカニズムの一端を解明し、臨床医学研究に還元することを目標として、腎臓病病態や腎臓老化の解明や移植におけるドナー腎臓の若返りを念頭に置き、引き続き同様のテーマに則し研究を進捗する予定である。研究のための海外渡航が許可される世界情勢となり次第、速やかに共同研究を進めるべく海外施設での活動を行う。(A)P16とGPNMBの共発現の検証により、すでに研究シーズの存在する抗GPNMB老化ワクチンの活用可否が判明すると思われる。(B)ヒト高齢腎臓における抗老化細胞の膜表面分子探索という挑戦的検討を引き続き進めていく。両プロジェクを平行して進め、国際共同研究へさらに大きく展開していく方向性に変更はない。
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