研究課題/領域番号 |
23K18329
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
尾崎 敏文 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (40294459)
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研究分担者 |
藤原 智洋 岡山大学, 大学病院, 講師 (80639211)
近藤 彩奈 岡山大学, 大学病院, 医員 (80910512)
吉田 晶 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 技術職員 (00910514)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 肉腫 / 腫瘍微小環境 / 腫瘍随伴マクロファージ / 微小環境 / 液性因子 / 腫瘍浸潤リンパ球 |
研究開始時の研究の概要 |
肉腫の生命予後改善のために様々な治療薬の開発が行われてきたが、肉腫細胞自体を標的とする方法は限界にある。肉腫の微小環境を標的とする治療法開発が期待される。癌の進展には免疫微小環境内の様々な免疫細胞が相互に密接に関わっており、その鍵となるネ ットワークを包括的に解明することが、肉腫の新しい治療開発に繋がり得る。しかしその肉腫免疫微小環境の形成やその源となる肉腫由来液性因子の包括的理解は進んでいない。本研究では、①微小環境を作り出す肉腫由来因子の網羅的解析、②肉腫免疫微小環境変化ネットワークの解明、③新規治療薬機軸としての応用を目的とする。
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研究実績の概要 |
微小環境を構成する免疫細胞からの攻撃を避ける作用を減弱する抗PD-L1抗体をはじめとした免疫チェックポイント阻害薬は骨軟部肉腫においては奏功率が極めて低いことが明らかになっており、免疫療法における新しい治療アプローチの開発が求められている。肉腫における腫瘍関連マクロファージ(Tumor-associated macrophage; TAM)やT細胞などのリンパ球(Tumor Infiltrating Lymphocyte; TIL)を含む腫瘍内免疫ネットワークの詳細は明らかにされていない。このネットワーク解明は新たな免疫療法創出の足がかりとなり、免疫チェックポイント阻害剤に抵抗性である軟部肉腫に対するブレイクスルーとなり得る。本研究では、①肉腫細胞が微小環境に存在する免疫細胞に及ぼす効果の包括的な理解、②肉腫細胞が免疫微小環境変化を引き起こすメカニズムの解明、③新規治療薬機軸としての応用を目的とした。本年度は、原発性悪性骨腫瘍で最も頻度の高い骨肉腫、軟部肉腫において最も治療に難渋する未分化多形肉腫におけるサイトカインアレイを行い、肉腫微小環境形成を促進する複数の候補分子を特定した。また、その液性因子によるTAM形成とその機能を確認し、阻害剤によりその機能が抑制されることを確認した。興味深いことに、TAMの制御だけではなく、さまざまなTILの動態にも影響することが明らかとなった。また、治療奏効性軟部肉腫と治療抵抗性軟部肉腫における免疫微小環境の構成細胞の違いを明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、肉腫細胞から分泌される液性因子の網羅的解析、肉腫組織の免疫微小環境評価、シングルセルシークエンス解析、マルチオミクス解析、肉腫免疫環境ネットワーク形成を阻害する治療薬開発を計画していた。今年度は、原発性悪性骨腫瘍で最も頻度の高い骨肉腫、軟部肉腫において最も治療に難渋する未分化多形肉腫におけるサイトカインアレイを行い、肉腫微小環境形成を促進する複数の候補分子を特定した。また、その液性因子によるTAM形成とその機能を確認し、阻害剤によりその機能が抑制されることを確認した。また、治療奏効性軟部肉腫と治療抵抗性軟部肉腫における免疫微小環境の構成細胞の違いを明らかにした。これらのアッセイは当該年度の目標としており、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
肉腫の免疫微小環境評価を治療奏効性ならびに抵抗性別に明らかにし、シングルセルシークエンスによりその構成細胞の分子プロファイルを明らかにする。その結果に基づき治療薬の候補を広げ、その治療薬により肉腫微小環境の構成細胞においてどのような変化が起きているかを明らかにすることで、肉腫免疫微小環境ネットワークを解明していく。
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