研究課題/領域番号 |
23K18330
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
柴田 健輔 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50529972)
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研究分担者 |
園田 康平 九州大学, 医学研究院, 教授 (10294943)
元岡 大祐 大阪大学, 微生物病研究所, 講師 (10636830)
中山 二郎 九州大学, 農学研究院, 教授 (40217930)
真野 純一 山口大学, 大学研究推進機構, 教授 (50243100)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 腸内細菌由来代謝産物 / T細胞 / 免疫療法 / 自己免疫性疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、独自に見出した腸内細菌による眼内免疫制御の視点から(Yamana S.,Shibata K.,Mucosal Immunol.,2022)、自己免疫性ぶどう膜炎により失明する患者を救うための新規治療法の開発に挑む。
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研究実績の概要 |
本研究では、自己免疫性ぶどう膜炎マウスモデルを用いて、新たな治療法の開発に取り組んでいる。 これまでに研究代表者は、Mucosal Associated invariant T (MAIT)細胞のT細胞受容体を介した活性化が、自己免疫性ぶどう膜炎の治癒に関わることを見出している。しかし、そのMAIT細胞の活性化を誘導するMAIT細胞認識抗原は不明である。近年研究代表者は、その抗原が自己免疫性ぶどう膜炎誘導後の腸内細菌由来代謝産物に含まれることを見出した。さらに、様々なスペクトラムを有する抗生剤を用いて解析を進めた結果、グラム陽性細菌に対して殺傷能を有するバンコマイシンを投与したマウスは、グラム陰性細菌を殺傷するネオマイシンを投与した群や未投与群と比較して、自己免疫性ぶどう膜炎の臨床症状の改善と、糞便中のMAIT細胞活性の上昇を認めている。そこで現在、バンコマイシンを投与後に自己免疫性ぶどう膜炎を誘導したマウスを用いて、以下の2つの研究を進めている。 1. MAIT細胞認識代謝産物の同定 2. MAIT細胞活性化に関わる腸内細菌の同定 上記結果が得られ次第、それらを用いた自己免疫性ぶどう膜炎の治療法の開発のための応用研究に着手する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1. MAIT細胞認識代謝産物の同定 令和5年度はまず、糞便からの代謝産物調整法を確立した。その後さらに、認識抗原を同定するため、様々な分離特性を有するカラムを用いた粗分画の作成を試みたが、活性を維持した画分が得られていない。現在その調整方法の確立のための条件検討に時間を要しているため、当初予定の令和5年度中のMAIT細胞認識代謝産物の同定という目標より研究の進行が遅れている。 2. MAIT細胞活性化に関わる腸内細菌の同定 MAIT細胞活性化に関わる腸内細菌を同定するため、バンコマイシン投与群、ネオマイシン投与群、未投与群のマウスに自己免疫性ぶどう膜炎を誘導後、糞便を回収しメタゲノム解析を行った。その結果、バンコマイシン投与群では、Klebsiella種, Ligilactobacillus種、Proteus種、Parabacteroides種、Escherichia種、Shigella種などの腸内細菌が他のグループよりも有意に上昇しており、MAIT細胞の活性化への関与が示唆された。こちらは予定通り進んでおり、遅延はない。
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今後の研究の推進方策 |
1. MAIT細胞認識代謝産物の同定 糞便粗分画の作成方法を樹立し、MAIT細胞認識代謝産物を同定する。 2. MAIT細胞活性化に関わる腸内細菌の同定 令和5年度に同定した菌が自己免疫性ぶどう膜炎で誘導されたことを検証するため、バンコマイシン投与およびネオマイシン投与のみで、自己免疫性ぶどう膜炎を誘導していないマウスの糞便のメタゲノム解析を行う。同解析により、自己免疫性ぶどう膜炎への関与の可能性が高い菌をさらに絞り込む。 3. 治療法開発への応用研究 MAIT細胞活性化に関わる腸内細菌の硝子体投与や、MAIT細胞活性化に関わる可能性を有する細菌の糞便移植により、MAIT細胞の活性化能や自己免疫性ぶどう膜炎の臨床症状の変化を調べる。またMAIT細胞の関与を明らかにするため、MAIT細胞欠損マウスをコントロールとして用いる。
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