研究課題/領域番号 |
23K18332
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中村 美和 熊本大学, 病院, 助教 (90971391)
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研究分担者 |
近藤 英治 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (10544950)
山口 宗影 熊本大学, 病院, 講師 (20626535)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 分娩 / エピゲノム記憶 / 子宮頸管熟化 / 炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
子宮頸管の熟化制御は妊娠維持や分娩に必須の生理変化で、この熟化制御の破綻は早産や難産に繋がるが、その制御機構は十分には解明されていない。本研究では、子宮頸管熟化に影響を及ぼす分娩のエピゲノム記憶に焦点を当て、熟化制御機構を解明を目的とする。非妊娠時の子宮を用い、分娩の有無をエピゲノム状態の差異をシークエンス解析で網羅的に検討後、熟化制御機構に関わる遺伝子を抽出し、その発現制御機構と機能的役割を細胞培養実験、マウス実験で解析する。この成果により、将来、腟分泌物を用いた早産・難産の予知・予防法の開発や安産の創薬に繋がり、母児の生命・健康を守る知財を創出する潜在性を有しており、社会的意義は大きい。
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研究実績の概要 |
本研究において、研究計画書で2023年度に予定されていた2項目においての研究実績を報告する。 1.ヒト子宮頸部の検体採取 研究計画では、子宮摘出を受けた30-45歳の未産婦および経産婦各10例ずつからの検体採取を目標としており、現時点では、30-45歳の未産婦2例(33-43歳)・経産婦4例(39-45歳)から得られた摘出子宮より子宮頸管間質の中位から検体を採取し、採取・保管することができた。条件に該当する症例でも患者本人の理解度や子宮摘出に対する精神状態から研究参加への同意取得が難しい症例があったため、次年度も引き続き該当症例に対して検体採取を積極的に行なっていくことが必要である。 2.子宮頸部の網羅的遺伝子発現解析およびオープンクロマチン領域の検出 研究計画では、各群の遺伝子発現をRNA-Seq解析にて網羅的に検討後、両群で発現に差を認める遺伝子群を抽出し、Gene Ontology解析等のパスウェイ解析を行うこと、ATAC-Seq解析を行い、各群で遺伝子発現とChromatin Accessibilityに共通して差異を認める候補遺伝子を同定することを予定していた。まず、RNA-Seqのための検体からのRNA抽出するために、1症例の組織を通常の組織粉砕でよく用いられるbeads粉砕のビーズの種類で粉砕を試みたが、完全に組織を粉砕することはできず、得られたRNA量は少量で解析には不十分な量であった。また、粉砕不十分な状態で抽出されたRNAはRIN値が低くなる傾向にあり、また、RNA自体も偏った細胞腫で取られている可能性が示唆された。そのため、まず、RNA抽出方法の検討が必要と考え、研究のため組織を使用することに同意が得られた患者の摘出検体から得られた子宮頸部間質の組織を用いて(当院倫理委員会で承認済)、事前にメスで組織を裁断する前処理をし、ビーズ粉砕の種類を検討し、より強力な粉砕力のものに変更することで高濃度のRNAを抽出することができ、この方法を用いてRNA-seq解析を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)検体採取において、未産婦および経産婦それぞれ各10例(計20例)を予定していたが、まだ未産婦および経産婦合わせて6例であるため。 (2)子宮頸部の網羅的遺伝子発現解析およびオープンクロマチン領域の検出において、RNA-Seq解析およびATAC-seq解析を行う予定であったが、RNA抽出方法の検討が必要であたっため、まだ実際に解析できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
1.ヒト子宮頸部の検体採取 当初は当院で症例数を達成できることを見込んでいたが症例数はまだ達成していないため、該当症例患者に対して、詳細に研究内容を説明し、可能な限り研究参加の同意が得られるように尽力し、厳しいと判断された場合は、研究計画書のように当院の関連施設に検体の提出を再度依頼し、検体採取を行う。 2.子宮頸部の網羅的遺伝子発現解析およびオープンクロマチン領域の検出 検体採取と並行して今年度検討したRNA抽出方法を用いてRNA-seq解析を行う。また、ATAC-seq解析に関しても、RNA-seq同様にRNA抽出の方法の検討が必要であると考え、早期にこの検討を行い、解析を行う。
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