研究課題/領域番号 |
23K18344
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小坂 威雄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30445407)
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研究分担者 |
茂田 啓介 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 訪問研究員 (10649875)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 尿路上皮癌 / 薬剤耐性 / 代謝リプログラミング / 免疫逃避機構 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは、先行研究と予備的検討から、抗癌剤耐性癌における細胞内代謝リプログラミング機構のもたらす癌微小免疫環境変化に注目した。癌の代謝リプログラミング機構に連動して免疫細胞および癌微小環境が“癌免疫代謝競合”は、糖アミノ酸が癌代謝リプログラミングの過程で枯渇した結果、多様な免疫系細胞のエネルギー産生が阻害され、抗腫瘍免疫応答の疲弊と免疫治療抵抗性に直結する可能性が示唆される。本研究を通して抗癌剤耐性がん細胞内代謝ネットワークを介した免疫逃避機構機序の掌握による癌免疫代謝競合機序解明を目的とする。
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研究実績の概要 |
抗癌剤耐性後尿路上皮癌(Urothelial Carcinoma: UC)は難治性で、薬剤耐性後の免疫治療不応性UCはアンメットメディカルニーズである。申請者らは、先行研究において、抗癌剤耐性UC細胞株のメタボロミクスコア(CE-MS)を用いた安定同位体13C 標識下メタボローム解析から、抗癌剤耐性株はイソクエ ン酸デヒドロゲナーゼ2(IDH2)を軸とする代謝リプログラミング機構を備えた代謝ネットワーク制御機構を発見した。 そこで、抗癌剤耐性癌における細胞内代謝リプログラミング機構のもたらす癌微小免疫環境変化に注目した。癌の代謝リプログラミング機構に連動して免疫細胞および癌微小環境が“癌免疫代謝競合”は、糖アミノ酸が癌代謝リプログラミングの過程で 枯渇した結果、多様な免疫系細胞のエネルギー産生が阻害され、抗腫瘍免疫応答の疲弊と免疫治療抵抗性に直結する可能性とそのマルチオミックス解析を着想した。 2023年度は臨床検体から術前補助化学療法前後のUC検体の免疫関連細胞(CD4、CD8、CD68、CD163、CD204、PD1 、PDL1)の発現と分布をIDH2発現別にプロファイリングすることで、薬物応答との関連解析を実施した。IDH2発現群ではImmune Desertであること、症例数は限定的であるが、免疫チェックポイントの効果との逆相関関係を見出した。 深層学習型人工知能(AI)を利用したマルチオミックスデータの統合による抗癌剤耐性後癌免疫微小環境の可視化を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当研究室では過去20年間で約300例の尿路上皮癌病理検体から組織マイクロアレイ(tissue micro array: TMA)を病理学教室と共同で作成しており、短時間で多数例染色が可能なプラットフ ォームを有している。 このTMAを利用し、術前補助化学療法前後のUC検体を糖代謝酵素別に免疫関連細胞(CD4、CD8、CD68、CD163、CD204、PD1 、PDL1)の発現と分布をプロファイルする事で代謝リプログラミング機構獲得後の免疫微小環境の解析を開始した。 2023年度は臨床検体からIDH2別免疫細胞別プロファイリングを実施し、IDH2発現群は”Immune Desert”であること、免疫チェックポイントの投与効果との逆相関関係を見出した。上記検討から代謝リプログラミング機構獲得後の癌微小環境内における癌免疫代謝競合を解析は予定通り進捗しているため。
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今後の研究の推進方策 |
組織マイクロアレイ(tissue micro array: TMA)を利用した癌免疫微小環境の解析では、さらに検討症例を増やして 術前補助化学療法前後のUC検体を糖代謝酵素別に免疫関連細胞(CD4、CD8、CD68、CD163、CD204、PD1 、PDL1)の発現と分布をプロファイルする事で代謝リプログラミング機構獲得後の免疫微小環境を解析する。 深層学習型人工知能(AI)を利用したマルチオミックスデータの統合による抗癌剤耐性後癌免疫微小環境の可視化においては、引き続き得られたraw dataを深 層学習型AIを用いてマルチオミックスデータとして統合することを進めていく。すでに組織レベルで得られたオミックスデータのcluster解析によるdeep learning AIをもちいたアルゴリズムの作成を進めていく。
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