研究課題/領域番号 |
23K18354
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大峡 淳 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40266169)
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研究分担者 |
川崎 勝盛 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40529640)
川崎 真依子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40584587)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | X染色体の不活性化 |
研究開始時の研究の概要 |
口蓋裂は、最も頻度の高い先天性疾患の一つである。しかし、その原因は未だ不明である。その解明には、口蓋形成メカニズムの正確な把握が必要となる。哺乳類のメスのX染色体には不活性化と呼ばれるシステムがある。このX染色体の不活性化が、口蓋形成にいかに影響を及ぼすかは知られていない。父親由来のX染色体を選択した細胞のみがGfpを発現するように作成したHprtマウスを用いて、口蓋形成におけるX染色体の不活性化の影響を検索する。
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研究実績の概要 |
哺乳類のメスの細胞では、ライオニゼーションと呼ばれるシステムが作動している。これは性染色体で生じているシステムである。哺乳類の全ての細胞には、一対の性染色体が存在する。男性はXYで、女性はXXである。つまり、男性はX染色体を1つしか持たないのに対し、女性は2つ保有する。男性は母親から受け継ぐが、女性の2つのうち、一つは父親から、一つは母親から譲り受ける。女性の2つの染色体が転写されると、女性の細胞はX染色体由来のタンバク質を男性の2倍持つ事となり、細胞にとって致死的状況となる。しかし、女性の細胞は、生涯にわたり、片方のX染色体だけを転写の対象とし、もう一方のX染色体を不活性化の状態にしておく。これにより、タンパク質が2倍になることを回避する。これがライオニゼーションである。つまり、女性の体には、父性染色体を選択した細胞と、母性染色体を選択した細胞、の2種類が存在することになる。一方、父親、母親いずれのX染色体を転写対象にするかの決定は、胎生の特定の時期に、ランダムに決定すると考えられている。口蓋突起の間葉組織において、どの細胞が、父性、母性のいずれのX染色体を選択したかを、Gfpなどの発現で検索するために、Hprt;Wnt1Creマウスを作成したところ、Gfp陽性細胞(父親由来X染色体を非活性化)と、Gfp非陽性細胞(母親由来X染色体を非活性化)が均一に散らばった状態であった。次に、このHprt;Wnt1Creマウスと、X染色体上にあり、その遺伝子の欠損が口蓋裂を引き起こすOfd1マウスを交配させ、口蓋裂を引き起こさせたところ(Hprt;Wnt1Cre;Ofd1)、口蓋裂の口蓋突起では、正常マウスでは見られないGfp陽性細胞(父親由来X染色体を非活性化;Ofd1が正常なX染色体を転写)と、Gfp非陽性細胞(母親由来X染色体を非活性化;Ofd1が欠損したX染色体を転写)、それぞれのクラスターが認められた。Gfp非陽性細胞には、Ephrinb1の発現が消失していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Ofd1;Wnt1Cre;Hprtマウスが繁殖せず、必要量のマウスを獲得するのに予想以上の時間を要したため、予定していた分子の発現の確認ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
マウスの数を増やすことで必要数のマウスが獲得できたので、口蓋形成関連分子やEph/ephrin関連分子の発現を、in situ hybridization、qPCR、免疫染色法にて確認する。
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