研究課題/領域番号 |
23K18381
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
林 豪士 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (80824648)
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研究分担者 |
村上 耕介 国立感染症研究所, 感染症危機管理研究センター, 室長 (60586973)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | ヒトノロウイルス / 腸管オルガノイド |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトノロウイルス(HuNoV)は、嘔吐、下痢等を主徴とするウイルス性の感染性胃腸炎及び食中毒の主要病原体である。近年、組織幹細胞由来腸管上皮オルガノイドを用いることでHuNoVを安定的に増殖させることが可能となったが、①HuNoV増殖効率が低い、②オルガノイド培養のコストが高い、③培養のための技術習得が必要、などの課題があり、国内において限られた機関でしか運用されていない。そこで本研究では、不死化単層腸管オルガノイドを出発材料として、感染効率および汎用性の高いfirst classのHuNoV感染培養系の樹立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、近年開発されたヒトノロウイルス(HuNoV)を安定的に増殖させることが可能な組織幹細胞由来腸管上皮オルガノイドを出発材料として、HuNoV感染を規定する宿主因子を同定し、より感染効率が高く、汎用性に優れたHuNoV感染培養系を樹立することを目的としている。初年度は、まず一般的な培養細胞を不死化する際に用いられる幾つかの不死化因子の単層培養した腸管オルガノイドへの導入を試みたところ、継代が可能な不死化単層腸管オルガノイドの樹立に成功した。次に、当該オルガノイドへのHuNoVの増殖を評価したところ、ウイルス増殖は認められなかった。そこで、ウイルス増殖性の喪失の要因を探るため、腸の分化マーカーなどの遺伝子発現解析を行った。その結果、親細胞と比較して、腸管細胞の分化の指標となる遺伝子の発現が低く、不死化細胞において分化が十分に進んでいないことがHuNoVの増殖の喪失に起因している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HuNoV感染に関わる候補宿主遺伝子の選別までには至っていないものの、不死化オルガノイドの感染性喪失の一因として腸管細胞の分化が進んでいない可能性を示唆する知見を得たことから、「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
腸管細胞の分化成熟に関わる成長因子や低分子化合物の添加、関連する宿主遺伝子を過剰発現(もしくは遺伝子ノックダウン・ノックアウト)などにより、樹立した単層培養オルガノイドの分化がより誘導されるか検討する。また、分化が進んでいない不死化単層オルガノイドが選別されてしまった可能性を考慮して、3Dのオルガノイドに不死化因子を導入した後に単層培養後、分化誘導を行うことでHuNoV感染性を保持しているか検討する。
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