研究課題/領域番号 |
23K18385
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮下 光令 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90301142)
|
研究分担者 |
中山 雅晴 東北大学, 医学系研究科, 教授 (40375085)
升川 研人 東北大学, 医学系研究科, 助教 (50964681)
横田 慎一郎 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90599490)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | 緩和ケア / Quality Indicator / 自然言語処理 / 機械学習 / 質指標 |
研究開始時の研究の概要 |
Quality Indicator(QI)とは「診療の質指標」と訳され「適切なタイミングで適切な診療行為が行われる医療」を意味する。緩和ケアのQIの開発と測定は2000年頃から行われてきたが、測定に膨大な時間がかかり、大規模調査は実行不可能であった。しかし、近年、自然言語処理や機械学習などの技術が大幅に進歩し、これらの応用により大規模なQI測定の実現可能性が高まった。本研究の目的はこれらの技術を応用し、電子カルテから緩和ケアのQIを測定するシステムを開発する。成功すれば今まで困難だった症状などの主観的データを利用したQIの測定が可能になるとともに、全国的な大規模調査が可能となる。
|
研究実績の概要 |
Quality Indicator(QI)とは「診療の質指標」と訳され「適切なタイミングで適切な診療行為が行われる医療」を意味する。既に様々な疾患や病態のQIが提案されているが、それらはエビデンスに基づく診療ガイドラインに沿った標準治療や検査などが臨床で遵守されている割合を指すことが多い。QIは通常カルテ調査という方法で調査されるが、多くの病院で数千人、数万人単位のデータを測定し、比較検討される必要がある。世界的にカルテからのQI測定はあまりうまく行っておらず、その理由はカルテ調査に時間がかかることである。そこで、本研究では日本の電子カルテのデータから自然言語処理および機械学習を用いて緩和ケアのQIを測定するシステムを開発することを目的とする 2023年度は緩和ケアのQIとして測定する項目の検討を行った。包括的な文献レビューを行い、緩和ケアのQI指標として「疼痛のスクリーニング」「入院したがん患者に対する疼痛の評価」「中等度以上の疼痛に対するオピオイド使用」「便通対策の指示」「重度の疼痛に対する鎮痛治療の変更」「骨転移に対する放射線療法」「オピオイドによる呼吸抑制」「モルヒネの禁忌」「治療に対する意向」「治療に対する説明」「がん再発後の病状説明」「再発がんに対する化学療法の治療目標、合併症の説明」など28項目のQI指標案を作成した。 その後、実測に向けて、東北大学病院の医療情報関係部署と電子カルテデータの利用についての交渉を開始した。2024年度はこれらの指標のうちいくつかについて実測を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
レビューによるQI項目の決定に時間を要した。また、東北大学病院の医療情報関係部署と電子カルテデータの利用についての交渉に時間を要している。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、東北大学病院の電子カルテデータを用いて緩和ケアのQIについて自然言語処理、機械学習により自動的なQIデータの収集システムの開発を行う。まずは前処理としてのデータ加工である。前処理は東北大学の大学院生を中心に行う。機械学習は教師あり学習を採用し、経過記録から正解ラベルと電子カルテのセットを作成する。システム構築はプログラミング言語Pythonを用いて行う。モデル構築は線形モデル、決定木、サポートベクタマシン、ニューラルネットワークの4つの方法に加えて、Googleで開発され自然言語領域における性能の高さが注目されているBERTなど最新技術を利用する。層別k分割交差検証法を用いてハイパーパラメータを調整する。不均衡データはアンダー・オーバーサンプリング法、損失関数法などにより調整する。最終的なモデルの性能評価は精度、陽性適中率、感度、F値等で行う。
|