研究課題/領域番号 |
23K18386
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
田嶋 敦 金沢大学, 医学系, 教授 (10396864)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | エクスポソームワイド・リスクスコア / 生活習慣病 / 発症ハイリスク群 |
研究開始時の研究の概要 |
生涯にわたり曝露される生活・環境因子の総体であるエクスポソームの観点から、エクスポソームワイド・リスクスコア(exposome-wide risk score: ERS)により疾患発症の非遺伝的リスクを集約スコア化する手法を開発し、地域住民コホートを対象として、その有用性を評価する。加えて、特定の生活習慣病に対するERSに基づく発症ハイリスク群に焦点を当て、ハイリスク群に属するにもかかわらず発病しない人たちには、発症の抑制や発症率の低減に関わる共通因子(遺伝、環境、およびそれらの相互作用)が存在するという仮説を設定し、この仮説を立証することを目的とする研究を提案する。
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研究実績の概要 |
生活習慣病は、各人の身体活動量や運動習慣、食習慣などの生活・環境要因と、生まれながらに持ち合わせる遺伝要因ならびにこれらの複雑な相互作用により発症に至る疾患の総称であり、多因子疾患とも呼ばれる。近年、ゲノムワイド関連解析などの手法を用いた生活習慣病のゲノム疫学研究の進展により、各人の生得的な遺伝的リスクを数値化(ゲノムワイド多遺伝子リスクスコアなど)することが可能となってきた一方、生活・環境要因といった非遺伝的要因の疾患発症リスクを集約し、数量化する方法は確立していない。本研究では、生涯にわたり曝露される生活・環境因子の総体であるエクスポソームの観点から、エクスポソームワイド・リスクスコア(exposome-wide risk score: ERS)により非遺伝的リスクを集約スコア化する手法を開発するとともに、その有用性を評価することを目的とする。 本年度は、研究者が参画している石川県内の地域住民ゲノムコホート研究において、生活・環境因子の総体であるエクスポソームデータ(性別、年齢、身長、肥満度、教育水準、生活習慣、食習慣、運動習慣、睡眠習慣、大気環境データなど)が取得済みの参加者を対象とし、コホート内関連解析により、高血圧症(HT)および2型糖尿病(T2D)に対する各生活・環境因子の効果量(対数オッズ)を推定し、対数オッズで重み付けしたエクスポソーム量の総和として、コホート参加者それぞれの高血圧症ERS(ERS[HT])ならびに2型糖尿病発症ERS(ERS[T2D])を算出した。また、各疾患に対するERS推定において各参加者のプロテオームデータやメタボロームデータがもたらす効果を明らかにするために、血中プロテオームデータやメタボロームデータを取得する準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
北陸地域での想定外の地震の影響により、計画していた地域住民ゲノムコホートにおける調査研究(試料・情報収集を含む)ならびにその分析の一部が実施できなかったため、研究の一部に遅延が生じているものの、対象疾患に対するエクスポソームワイド・リスクスコアERSの推定に関してはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究参加者の血中プロテオームデータを取得し、HTおよびT2Dに対するERS推定に及ぼすプロテオームデータの効果を分析する。加えて、ERS[HT]またはERS[T2D]に基づくハイリスク群または超ハイリスク群内の未発症者集団が有する発症抑制因子について、遺伝、環境および遺伝-環境相互作用の観点から網羅に分析する。遺伝要因については、超ハイリスク群(ERS上位5%集団)の全ゲノムシークエンスを行い、生物情報学的解析から、疾患未発症者が共通・個別に有するタンパク質の機能喪失型あるいは獲得型候補変異を同定する。同定した候補変異サイトの遺伝型は、コホート内の残りの95%集団においても決定し、発症抑制因子となる可能性について統計遺伝学的に検証する。環境因子については、ハイリスク群(ERS上位10%集団)において、エクスポソームデータの発症-未発症群間比較を行い、統計学的に有意な候補事象・因子を同定する。同定した候補事象・因子については、コホート内の残りの90%集団においても分析し、発症抑制因子となる可能性について検証する。
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