研究課題/領域番号 |
23K18387
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石井 晃 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30252175)
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研究分担者 |
名取 雄人 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (80610104)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 医療用大麻 / 微量活性成分 / 液体クロマトグラフィー / 質量分析 / メタボロミクス / 法医学 / 大麻 / 行動分析 |
研究開始時の研究の概要 |
大麻は、広く使用されている乱用薬物であるが、近年、大麻関連物質が慢性疼痛の緩和や難治性てんかんに有効である等の報告がなされ、医療応用が今後広がると考えられる。今回の計画は以下の通り。高速液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法を用いた一斉分析を開発し、大麻に含まれる微量活性成分の抽出と同定を行う。次に、培養細胞を用いた細胞生存率の評価やメタボロミクス解析などで、毒性が低く有用な生理活性を有する可能性のある化合物を選択する。さらに、動物実験により、異常行動の惹起が少なく、有用性が期待できる化合物を個体レベルで評価し、最終的に毒性評価、薬理作用及び有効性評価の多面的プラットフォームを構築する。
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研究実績の概要 |
大麻は、日本で広く使用される乱用薬物でゲートウェイドラッグでもある一方で、その医療応用が脚光を浴びている。医療目的としては、制吐剤、AIDSによる消耗状態等に対する食欲の増進、多発性硬化症における疼痛の改善、非がん性の慢性疼痛のコントロール、難治性てんかんの治療等が挙げられる。本研究では、天然の大麻からTHC等の有害成分を除いた微量活性成分を含む試料の抽出法の開発や、大麻の微量活性成分を特に生薬として抽出する。その後、抽出物の総合的評価を行うことが可能となる毒性評価や、薬理作用及び有効性評価の多面的プラットフォームの作成し、個々の微量活性成分の探索プロジェクトにつながる方法論を構築する。 まず、乾燥大麻草を液体窒素で凍結させ、マルチビーズショッカーで粉砕し、クロロフォルムで抽出後、固相抽出で不純物を精製し、DMSOで解し、次の細胞実験に使用した(これをC.S.と呼ぶ)。マウス視床下部由来GT1-7 細胞へ、終濃度10~1000 microMでC.S.を添加し、他方合成カンナビノイド HU210を終濃度 2.5~20 microM添加したものをコントロールとし、まず、細胞死と代謝への全体的影響を検討した。HU210を加えると 24時間後には 20 microM で細胞死が増加し、10 microM で全体的な代謝が減弱していた。ところが、C.S.では、24時間後の細胞死が抑制され、500 microM以上で代謝が抑制された。 次いで、メタボロミクスによる代謝経路への影響を検討したところ、HUS210とC.S.で、共通してクエン酸回路、ペントース・グルクロン酸相互変換系、アスコルビン酸・アルダル酸代謝が変動し,HU210 ではグリセロリン脂質・グリセロ脂質代謝や一部のアミノ酸代謝、C.S.ではタウリン・ヒポタウリン代謝、ピルビン酸代謝、一部のアミノ酸代謝の変動が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乾燥大麻からの抽出物による代謝物変化を、メタボロミクスを用いて検出することができ、同じレセプターに作用する合成カンナビノイドとの類似作用及び相互に異なる作用を抽出することに成功しており、今後、大麻中の微量成分の作用解析につなげていく道筋が大まかにできているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、培養細胞実験を継続し、その結果を踏まえて大麻抽出物を用いた行動解析に移る予定である。
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