研究課題/領域番号 |
23K18401
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大黒 亜美 広島大学, 医系科学研究科(薬), 特定准教授 (20634497)
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研究分担者 |
古武 弥一郎 広島大学, 医系科学研究科(薬), 教授 (20335649)
今岡 進 関西学院大学, 生命環境学部, 教授 (60145795)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 香り物質 / 香害 / 脳 / 脂質代謝 / 薬物代謝酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
香水や柔軟剤など、身の回りの様々な香り物質に反応して不快感(頭痛や思考力の低下など)を引き起こす「香害」が近年問題となっている。これらの患者の中には、気管等における炎症やアレルギー反応が見られない患者も多く、不快感がなぜ引き起こされるのかその作用機序は不明であり、治療方法がないのが現状である。本研究では、香り物質の匂い情報ではなく、香り物質のダイレクトな脳への悪影響を解明し、香害における“不快感”を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
吸入曝露装置を用いてマウスに様々な香り物質を曝露し、様々な行動試験を行ったところ、不安様行動や多動などの行動異常が観察された。またパルスオキシメーターを用いてマウスの心拍を測定した結果、香り物質により心拍が増加することが示された。これらの結果より、マウスを用いて香り物質による不快感を検出できたと考えられる。また硫酸亜鉛をマウスに投与することで嗅覚を障害させたマウスを作製した。これらのマウスを用いて行動試験を行ったところ、香り物質による一部の行動異常は嗅覚障害マウスでも観察されたことから、嗅覚を介さない行動異常であると考えられた。そこで、これらの香り物質が直接脳へ作用している可能性を検討したところ、これらの香り物質は脳に移行することが示され、脳内の脂質代謝や遺伝子発現に影響を与えることが示された。これらの結果より、香り物質は嗅覚情報のみならず、直接的な脳への移行を介して、神経機能に影響を与える可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスを用いた行動試験や心拍測定により、香り物質による不快感を検出することができた。またこれらの不快感は、嗅覚情報のみならず直接的に香り物質が脳へ作用した結果である可能性を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度で明らかにした香り物質による脳内の脂質代謝の変化や遺伝子発現変化が、香り物質による不快感とどのように関連するかを明らかにする。
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