研究課題/領域番号 |
23K18409
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
三浦 由佳 藤田医科大学, 社会実装看護創成研究センター, 講師 (30791587)
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研究分担者 |
須釜 淳子 藤田医科大学, 社会実装看護創成研究センター, 教授 (00203307)
紺家 千津子 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (20303282)
真田 弘美 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (50143920)
野口 博史 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (50431797)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 不顕性誤嚥 / 誤嚥性肺炎 / ポジショニング / 人工知能 / 咽頭残留 / 見守りセンサー |
研究開始時の研究の概要 |
睡眠時にむせこみなどの徴候を示さない唾液などの不顕性誤嚥がどの程度生じているか評価することは難しい。そして、誤嚥を繰り返すことによって誤嚥性肺炎を発症する。睡眠中の誤嚥はいつ生じるか分からないため、連続したモニタリングが必要である。そこでこの研究では、超音波ドプラ法などを用いて睡眠中の嚥下を連続モニタリングし、誤嚥と正常な嚥下の割合と睡眠の状態を測定する。ドプラ法では体内で生じる動きの流速、向きを検出可能であり、睡眠時の食道内や気管内の唾液の動きも評価できる可能性がある。最終的には、誤嚥予防と安楽保持のための姿勢を自動で促すことができるセンサー一体型のロボティクスクッションの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
【目的】本研究の目的は、睡眠中の嚥下を持続モニタリングし、誤嚥と正常な嚥下の割合と睡眠の状態に応じて、誤嚥予防と安楽保持のための姿勢を自動で促すセンサー一体型のロボティクスクッションを開発することである。目的達成のために、まずは頸部に貼付したセンサーから連続して得られる咽頭と食道内の動きの波形を画像解析し、咽頭残留時と正常時に生じる波形の特徴を明らかにすることを試みた。 【方法】嚥下障害の無い健常者1名を対象に実験を行った。咽喉マイクSH-12jKは携帯型超音波診断装置(エコー)のスマートフォンと接続し喉頭隆起の直下に装着した。エコーのプローブは喉頭隆起の真上から接触させた。梨状窩内にトロミ水を数秒間貯留させた後に嚥下を2回繰り返し、エコーの動画と録音した音声データから表示される波形を照合し、残留時と非残留時の波形の特徴を目視で確認した。試行は3回繰り返した。 【結果】残留時はエコー画像上、梨状窩内に高エコーが常時描出されることを確認した。音声波形においては複数の波形のピークが見られた。2回の嚥下後の非残留時は梨状窩内は低エコーであることを確認した。音声波形においては残留時見られた波形のピークは観察されなかった。 【考察】音声波形において残留時に観察された複数の波形のピークは、貯留物の振動を咽喉マイクで検出できていた可能性がある。今後は嚥下障害のある患者においてデータ収集を行い、音声の波形から残留の有無・部位を同定するアルゴリズムを作成し誤嚥・残留予防方法の自動提案を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで、頸部に貼付した咽喉マイクから連続して得られる咽頭の動きの波形が残留時と非残留時で異なることを示しており、この結果は今後、誤嚥予防と安楽保持のための姿勢を自動で促すセンサー一体型のロボティクスクッションの開発の基礎データになり得る。しかし、2023年度は貼付するセンサーの選定に時間を要し、データ収集の開始が遅れ、まだ嚥下障害を有する患者でのデータ収集はできていないため、「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、横断観察研究にて、嚥下造影検査を受診し唾液での誤嚥が確認できた肺炎の既往のある患者を対象とする。これまでの結果をもとに安全安楽を保てる方法で頸部にセンサーを貼付し、就寝時から起床時までの咽頭の動きを持続モニタリングする。患者にて健常者では見られない特徴的な波形が生じることを明らかにする。さらに、特徴的な波形を自動で抽出し誤嚥と正常な嚥下の割合を算出する画像処理方法を作成する。 続いて、クッション作成のための実験を行う。嚥下障害の無い健常者を対象とした介入研究にて、頭部~腰部と臀部~側部にそれぞれ挿入したクッションの内圧を変化させる。クッションには内圧を持続測定可能なセンサーを挿入する。どのような内圧変化のパターンで不快感や睡眠の妨げが最小となるか質問にて確認し、安楽保持のための内圧調整アルゴリズムを提案する。最終的には、誤嚥と正常嚥下の連続的検出方法から得られるデータをもとに正常な嚥下を促し安楽を保つ姿勢保持クッションの自動内圧調整アルゴリズムを開発する。
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