研究課題/領域番号 |
23K18415
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
磯辺 智範 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70383643)
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研究分担者 |
石井 亜紀子 筑波大学, 医学医療系, 客員研究員 (10400681)
岡田 浩介 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (80757526)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 客員教授 (90241827)
三浦 征 福岡大学, スポーツ科学部, 助教 (20982317)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 細胞外小胞 / 脂肪性肝炎 / 転写因子Nrf2 / 臓器連関 / ミトコンドリア / 非アルコール性脂肪性肝炎 / サルコペニア / Nrf2 |
研究開始時の研究の概要 |
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は,肝硬変・肝癌へと進展する重篤な肝疾患である.NASHの進展には,骨格筋の量的質的異常であるサルコペニアが関与することが判明しているが,そのメカニズムの詳細は未解明である.本研究では,酸化ストレス防御の司令塔Nrf2を筋細胞でのみ発現するNrf2-筋レスキューマウスでは,食餌誘導性NASHが抑制されることに着目し,筋Nrf2が肝に酸化ストレスを惹起する「損傷ミトコンドリアの輸送」を抑制することで,NASHを防御しているとの仮説を検証する.
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研究実績の概要 |
骨格筋における酸化ストレス障害は,脂肪性肝炎 (NASH) 病態を増悪させる.近年,肥満により蓄積した脂肪組織から分泌される細胞外小胞には損傷したミトコンドリアが内包され,他臓器に酸化ストレス障害を惹起することが報告された (Crewe C et al., Cell metab 2021).本研究では,酸化ストレス障害を受けた骨格筋からも脂肪組織と同様に,損傷ミトコンドリアがEVsを介して分泌され,NASHの進展を促進している可能性,さらに,酸化ストレス防御の司令塔Nrf2が筋細胞からの損傷ミトコンドリアの分泌を抑制し,NASHの防御に貢献している可能性を検証する.そのために,本年度は以下の実験を行った. 1. 全身Nrf2欠損マウスおよび筋細胞特異的Nrf2遺伝子発現マウスの血中EVs内包タンパク質の網羅的解析:高脂肪果糖食の摂餌により,NASHを誘導した両マウスの血液からEVsを精製し,プロテオーム解析にて内包タンパク質の網羅的解析を行った.食餌介入およびプロテオーム解析は完了しており,現在はミトコンドリア構成基質に着目して解析を継続している. 2. 筋管細胞 (C2C12) 由来EVsの肝細胞への取り込み評価:C2C12細胞の培養培地から精製したEVsを蛍光標識した後に,培養肝細胞 (Hepa1-6) へと添加した.添加6時間後に蛍光顕微鏡にてEVsの取り込みを評価したところ,筋細胞由来EVsが肝細胞へと取り込まれることが確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In vivo実験の食餌介入および血中EVsのプロテオーム解析までを完了させることができた.また,本研究仮説の大前提となる筋細胞由来EVsの肝細胞への取り込みを確認することができた.また,培養筋管細胞に対する薬剤処理の条件検討を完了することができたため,次年度はin vitro実験を推進し,EVsを介したミトコンドリア輸送に着目した臓器連関機構の詳細に迫っていきたい.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で得られた知見や条件検討の結果をもとに,EVsを介した損傷ミトコンドリア輸送による脂肪性肝炎の病態増悪機構やNrf2による防御メカニズムの解明を目指す.次年度は,特にin vitro実験に注力し,「酸化ストレスを誘導した筋細胞から損傷ミトコンドリアが分泌されるか?」「筋細胞由来の損傷ミトコンドリアは肝の炎症を誘導するか?」「筋細胞Nrf2はそれらを防御するか?」という問いを検証していく.
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