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栄養素による感染防御応答の促進メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K18421
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
研究機関大阪大学

研究代表者

齊藤 達哉  大阪大学, 大学院薬学研究科, 教授 (60456936)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
キーワード栄養素 / 感染防御 / サイトカイン
研究開始時の研究の概要

適切な食事により必要量の栄養素を摂取することは、病原体に対する感染防御機構を機能させ、感染を予防することにつながる。本研究では、古くから知られているが未だに謎が残されている「栄養素の摂取と感染免疫の誘導との関係」を明らかにすることに挑戦する。特に、「病原体に対する免疫に深く関わる炎症性サイトカインの産生において栄養素が果たす役割」に着目し、解析を進める。本研究は、栄養不足による感染症リスクを判断する基準の策定や栄養素の適切な摂取を基盤とする感染症予防法の開発につながり、栄養学および健康科学の発展に寄与するものである。

研究実績の概要

適量の栄養素を摂取することは、感染症予防において極めて重要である。しかしながら、先進国においては老化に伴う食欲減退や過度の食事制限により、途上国においては食糧難により、栄養不足に陥ることで感染症のリスクに曝されている人々が少なからず存在する。本研究では、免疫応答における栄養素の効果に着目し、栄養不足により病原体に易感染性となる理由を解き明かすことを目的とする。とりわけ、「栄養素によるIL-1alphaを介する感染防御応答の促進メカニズムを解明する」ことを目指して、解析を進めてきた。まず、自然免疫機構であるToll-like receptorおよびインフラマソームの活性化に応じたIL-1alphaの産生に、特定のアミノ酸が関わっていることを見出した。当該アミノ酸を分解する酵素を培地に添加した状態で培養すると、プライマリーマウスマクロファージにおけるIL-1alphaの産生が大きく減弱した。また、当該アミノ酸を含まない培地を用いて培養することによっても、IL-1alpha産生は減弱した。興味深いことに、IL-1alpha mRNAの量については、当該アミノ酸の影響をほとんど受けなかった。このことは、当該アミノ酸を感知する機構がIL-1alphaの翻訳以後のプロセスの制御に関わっていることを示唆している。一方で、当該酵素を加えても、炎症性サイトカインであるTNFの産生には変化が見られなかったため、培地中のアミノ酸の要求性はサイトカインごとに異なっていると考えられる。さらに、当該アミノ酸がある種のケミカルメディエーターの産生にも関わっていることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

プライマリーマウスマクロファージにおいて、特定のアミノ酸を除去すると炎症性サイトカインであるIL-1alphaの産生が減弱すること、これは当該アミノ酸が翻訳以後のプロセスに関わることに起因することを見出した。さらに、当該アミノ酸がある種のケミカルメディエーターの産生に関わっていることを発見した。

今後の研究の推進方策

(1)アミノ酸を感知してIL-1alphaの産生を促進する機構を同定する。代表者はこれまでに、培地中の当該アミノ酸の欠如がマウスマクロファージにおけるIL-1alphaの翻訳以後のプロセスに悪影響を与えることを見出している。そこで、当該アミノ酸の欠乏がTLR依存的な免疫関連分子の発現に与える影響をプロテオミクスにより包括的に解析する。IL-1alphaのように、mRNAレベルでは当該アミノ酸の影響を受けず、タンパク質レベルにおいて影響を受ける分子を探索する。候補が定まったところで、候補分子に共通するmRNAの配列やタンパク質としての構造等がないかどうかを比較検討する。さらに、翻訳の制御や翻訳後の制御に関わることが知られている分子の働きに対して、当該アミノ酸が影響を与えるかどうかを検証する。
(2)当該アミノ酸を投与することによる感染防御機構活性化への促進効果を検証する。代表者はこれまでに、マウスの腹腔に当該アミノ酸を分解する酵素を投与すると、アルミニウムアジュバントにより誘導される抗体の産生が阻害されることを見出している。そこで、当該アミノ酸を投与することによって、マウスの生体内においてIL-1alphaやケミカルメディエーターの産生が亢進するかどうかをELISAなどの手法を用いて解析する。さらに、B細胞によるIgG・IgEの産生および抗原特異的T細胞などの出現・活性を測定し、液性免疫および細胞性免疫の誘導への関与について解析する。これらの解析により、当該アミノ酸の投与がマウスの生体内において獲得免疫の誘導を亢進するかどうかを検証する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (18件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (15件) (うち招待講演 1件)

  • [国際共同研究] 上海交通大学(中国)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Dasatinib suppresses particulate-induced pyroptosis and acute lung inflammation2023

    • 著者名/発表者名
      Pan Yixi、Ikoma Kenta、Matsui Risa、Nakayama Akiyoshi、Takemura Naoki、Saitoh Tatsuya
    • 雑誌名

      Frontiers in Pharmacology

      巻: 14

    • DOI

      10.3389/fphar.2023.1250383

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 細胞死と自然炎症:細胞外微粒子によるパイロトーシスと疾患病態への影響について2023

    • 著者名/発表者名
      武村直紀,齊藤達哉
    • 雑誌名

      臨床免疫・アレルギー科

      巻: 80 ページ: 63-69

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Dasatinib suppresses particulate-induced pyroptosis and acute lung inflammation2024

    • 著者名/発表者名
      Naoki Takemura, Yixi Pan, Tatsuya Saitoh
    • 学会等名
      第52回日本免疫学会学術集会,一般学術発表(ポスター)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 微粒子による炎症の誘導機序とその制御法について2024

    • 著者名/発表者名
      齊藤達哉
    • 学会等名
      第57回日本痛風・尿酸核酸学会総会,教育講演
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 延命草成分オリドニンは肥満細胞の脱顆粒を抑制する2024

    • 著者名/発表者名
      髙野はるか,飯沼宏太,井上和香奈,木俵爽太,木村寧希,髙濵充寛,武村直紀,齊藤達哉
    • 学会等名
      日本薬学会 第144年会,一般学術発表(口頭)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Vitamin D3代謝体secalciferolによる抗炎症効果の解析2024

    • 著者名/発表者名
      見山さくら,髙濵充寛,武村直紀,齊藤達哉
    • 学会等名
      日本薬学会 第144年会,一般学術発表(口頭)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 敗血症における臓器連関の機序解明2024

    • 著者名/発表者名
      髙濵充寛,齊藤達哉,Chevrier Nicolas
    • 学会等名
      日本薬学会 第144年会,一般学術発表(口頭)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 刺激性微粒子による免疫毒性の理解と制御2024

    • 著者名/発表者名
      齊藤達哉
    • 学会等名
      日本薬学会 第144年会,シンポジウム招待講演
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 鼻腔内投与型アデノウイルスベクターによるIL-1シグナルを介したワクチン効果誘導メカニズムの解明2024

    • 著者名/発表者名
      大西里佳,立花雅史,脇田拓朗,仲谷隼,武村直紀,齊藤達哉,平井敏郎,吉岡靖雄,櫻井文教,水口裕之
    • 学会等名
      日本薬学会 第144年会,一般学術発表(口頭)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 微粒子を起因とする現代病を防ぐ延命草茶成分Oridoninの解析2023

    • 著者名/発表者名
      武村直紀,生駒健太,髙濵充寛,齊藤達哉
    • 学会等名
      第77回日本栄養・食糧学会大会,一般学術発表(ポスター)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 炎症誘発性プラットフォームを標的とする放射線防護剤の開発2023

    • 著者名/発表者名
      森田明典,谷本大河,東優一,西山祐一,昌子紡己,村田貴嗣,小向杏佳,金井昭教,國井大誓,坂井卓磨,貞富凌,王冰,下川卓志,中田健也,武村直紀,齊藤達哉,稲葉俊哉,椎名勇
    • 学会等名
      日本放射線腫瘍学会 第60回生物部会学術大会,一般学術発表(口頭)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 刺激性微粒子により誘導される細胞死の解析2023

    • 著者名/発表者名
      生駒健太,髙濵充寛,武村直紀,齊藤達哉
    • 学会等名
      第31回日本Cell Death学会学術集会,一般学術発表(口頭)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 微粒子により誘導されるパイロトーシスを抑える薬剤Dasatinibの作用機序の解析2023

    • 著者名/発表者名
      武村直紀,潘逸羲,齊藤達哉
    • 学会等名
      第30回日本免疫毒性学会学術年会,一般学術発表(ポスター)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ポリスチレンナノ粒子は貪食非依存的に細胞死とIL-1αの放出を誘導する2023

    • 著者名/発表者名
      難波龍之,齋しおり,武村直紀,齊藤達哉
    • 学会等名
      第73回日本薬学会関西支部総会・大会,一般学術発表(口頭)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ノンカノニカルインフラマソームを抑制するプロスタグランジン類の解析2023

    • 著者名/発表者名
      西田周平,武村直紀,髙濵充寛,齊藤達哉
    • 学会等名
      第73回日本薬学会関西支部総会・大会,一般学術発表(口頭)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Vitamin D3代謝体Secalciferolによる抗炎症効果の解析2023

    • 著者名/発表者名
      見山さくら,生駒健太,潘逸羲,髙濵充寛,武村直紀,齊藤達哉
    • 学会等名
      第73回日本薬学会関西支部総会・大会,一般学術発表(口頭)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ダサチニブは微粒子によるパイロトーシスと急性肺炎を抑制する2023

    • 著者名/発表者名
      潘逸羲,武村直紀,齊藤達哉
    • 学会等名
      第97回日本薬理学会年会,一般学術発表(口頭)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-07-04   更新日: 2024-12-25  

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