研究課題/領域番号 |
23K18443
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
齋藤 貴子 (千見寺貴子) 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (40452982)
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研究分担者 |
齋藤 悠城 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40758702)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 細胞老化 / 慢性炎症 / 急性炎症 / 加齢性疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、加齢で起こる細胞老化の全容解明のため、健康な老い(Healthy aging)と加齢性疾患の分岐点となる老化起源細胞を、シングルセルRNA-seq法を用いて同定する。ついで、老化起源細胞の運命決定機構を解明し、ヘルパー老化細胞への運命決定因子の探索を行う。最後に、3)ヘルパー老化細胞への運命決定因子を誘導する革新的な方法をエクササイズや薬剤を含めて探索し、加齢性疾患に対するレジリエンスの獲得を目的(図1)とする。これにより、Agingの新たな理解を促進すると同時に、我々が超高齢化社会を生き抜くための、全人類のHealthy aging達成を目指す。
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研究実績の概要 |
世界的な高齢化社会に直面する人類にとって、健康寿命の延伸は極めて重要な課題である。「加齢」は、筋骨格系疾患、脳神経疾患、循環器疾患などさまざまな加齢性疾患に罹患する最大のリスク因子である。しかし、なぜ時間の経過とともに、さまざまな疾患に罹患しやすくなるのか、そのメカニズムは十分にわかっていない。細胞老化は、様々なストレッサーにより損傷を受けた細胞が自らの増殖を止め、サイトカインやケモカインなど様々な生理活性物質を分泌する細胞老化随伴分泌形質(Senescence-associated secretory phenotype; SASP)となる。SASPとなった老化細胞は、がん抑制、組織修復や個体発生などに関与する、生体にとって有益な作用を有している。一方、SASPとなった老化細胞は、慢性炎症や加齢関連性疾患を引き起こすことも報告されており、本来生体にとって有益な働きをもつ老化細胞がなぜ有害な働きへと変化するのか、細胞老化の解明が重要視されている。本研究では、生体にとって有益な働きをする老化細胞と、有害な働きをする老化細胞の運命を決定する因子の解明に挑戦する。私たちはこれまで、急性炎症時に出現する老化細胞の働きによって、組織が修復される一方で、加齢関連性疾患による慢性炎症時に出現する老化細胞によって病態が悪化することを明らかにしてきたことから、急性炎症と慢性炎症を生じるモデルマウスもしくはヒト疾患において有益な働き/有害な働きをする老化細胞について、単一細胞解析や網羅的解析を実施し、それぞれの老化細胞の特徴を検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
慢性炎症および急性炎症における単一細胞解析を実施し、それぞれの老化細胞の特徴を検証している。
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今後の研究の推進方策 |
急性炎症および慢性炎症のモデルマウスを作製し、それぞれの病態で生じる細胞老化について、単一細胞解析(Single-cell RNA-seq解析など)を実施する。細胞のトランスクリプトームが変化しようとする方向とその速度を推定できるRNA velocity解析によって、それぞれの病態における老化細胞に共通の起源が存在するのか、また起源となる細胞が急性炎症・慢性炎症で生じる老化細胞へと変化する際に発現を高める因子は何か、検証を行う。
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