研究課題/領域番号 |
23K18469
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分60:情報科学、情報工学およびその関連分野
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
安田 雅哉 立教大学, 理学部, 教授 (30536313)
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研究分担者 |
相川 勇輔 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (70888578)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 同種写像問題 / 超特異楕円曲線 / 自己準同型環 / Deuring対応 / 耐量子計算機暗号 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では, 耐量子計算機暗号として期待される同種写像暗号に対し,同種写像に基づく暗号方式が安全性の根拠とする補助情報付き同種写像問題の数理的解析を行う.具体的には, 補助情報を利用する鍵復元攻撃や楕円曲線の自己準同型環の構造決定を基に, 各暗号方式に対する最良の解読アルゴリズムの構築を行う.また, 実際の計算機上の攻撃実験を通して, 解読計算量を理論・実験の両面から精密に評価する.本研究により, 同種写像暗号の安全性解析法を構築すると共に,他の耐量子計算機暗号方式と安全性比較するための学術的な判断材料を与えることを目指す.
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研究実績の概要 |
耐量子計算機暗号技術の1つとして期待される超特異楕円曲線上の同種写像暗号の安全性は、2つの同種な超特異楕円曲線を結ぶ同種写像の列を具体的に計算する「同種写像問題」の計算量困難性に依存する。一方、超特異楕円曲線の全体集合と四元数環における極大整環の全体集合が1対1に対応するDeuring対応の下、同種写像問題と自己準同型環の計算問題は相互に帰着可能であることが知られている。本年度は、与えられた超特異楕円曲線の自己準同型環に対応する四元数環の極大整環を決定するアルゴリズムを整備した。具体的には、超特異楕円曲線上の同種写像グラフにおいて、同種写像サイクルを効率的に探索するアルゴリズムを与えると共に、同種写像サイクルに対応する自己準同型写像を四元数環の元に対応させる方法を構築した。また、素体上定義された超特異楕円曲線の自己準同型環を計算するアルゴリズムを数式処理システムのSageMath上で実装し、その処理速度を計測することに成功した。さらに、求めた超特異楕円曲線の自己準同型環の情報から同種写像問題を求解する帰着ステップの実現可能性を実証した。これらの研究成果は、多数の国内会議で発表すると共に、査読付きの国際会議・国際雑誌に採択された。また、同種写像暗号に関連するグラフ構造解析とその暗号応用や、2つの楕円曲線の積が定めるアーベル曲面のブラウアー群の位数計算に関する計算アルゴリズムを整備し、査読付き国際会議・国際雑誌で採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超特異楕円曲線上の同種写像問題と計算量的に等価な自己準同型環の決定問題に対して、計算アルゴリズムを整備すると共に、同種写像問題への求解に適用可能であることをSageMath上の実装により実証できた。このように、超特異楕円曲線の自己準同型環を決定する方法を経由して、同種写像問題を求解できることを実装で実証すると共に、査読付き国際会議・国際雑誌において発表でき、おおむね当初の計画通り研究を推進することができている。
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今後の研究の推進方策 |
自己準同型環を計算できる超特異楕円曲線クラスを汎用的にすると共に、同種写像サイクル探索の計算ステップなどの高速化を図る。また、2つの同種な楕円曲線間の同種写像全体がなす自由アーベル群の基底を計算するアルゴリズムの整備を行う。
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