| 研究課題/領域番号 |
23K18485
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| 研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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| 配分区分 | 基金 |
| 審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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| 研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
冨永 貴志 徳島文理大学, 神経科学研究所, 教授 (20344046)
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| 研究分担者 |
高島 一郎 第一工科大学, 工学部, 教授 (90357351)
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| 研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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| キーワード | 膜電位感受性色素 / 意識 / 海馬 / 前帯状皮質 / EEG / 全身麻酔薬 / 膜電位光計測法 / 脳波 / 単離脳標本 / 光計測 |
| 研究開始時の研究の概要 |
「意識(consciousness)の有無が脳皮質活動に影響を与えるか?」という問いを探求する。意識は定義づけることが困難である一方、全身麻酔薬(general anesthetic)により意識が無い状態を生み出すことは可能である。全身麻酔薬は広く用いられているが、その作用機序は完全には解明されていない。しかし、意識喪失の過程は脳波(electroencephalography;EEG)により明瞭に測定可能である。膜電位光計測法を用いることで、全身麻酔薬の作用による脳皮質活動の変化を直接観察できると考え精密な膜電位光計測技術を用いて、意識の皮質活動(EEGの細胞基盤)を解析する挑戦を行う。
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| 研究実績の概要 |
「意識(consciousness)の有無で脳皮質活動は変わるのか?」この問いを軸に、意識の神経生理的役割の一端を膜電位可視化法で「見る」ことが目的である。意識は定義すら難しいが、意識を無くした状態は全身麻酔薬(general anesthetic)で作り出すことが可能である。全身麻酔薬は現在、毎日、全世界の医療現場で用いられているが、驚くべきことにその作用機序は現在に至るまでよくわかっていない。しかし、ヒト患者での意識喪失の過程は脳波(electroencephalography;EEG)による計測で明確に決めることができる。その過程では、EEGに特徴的なオシレーションが観察される。EEGと対応する細胞レベルでの計測は、同様の広範さで神経活動のダイナミクスをリアルタイムで可視化することのできる膜電位光計測法であると考えた。全身麻酔薬を作用させたときに現れる脳皮質活動の変化を、単離脳標本や遺伝子組込電位・カルシウムレポータを含む多彩な技術で意識の皮質活動(EEGの細胞基盤)を見ることに挑戦する。いままでに、前帯状皮質での活動を定量化した。 意識は、全脳ネットワークの統合機能として非常に重要であるにも関わらず、その神経回路機構はほぼ知られていない。これは、EEG等で計測される脳の広い大規模神経ネットワークの神経活動を、個々の神経細胞の膜応答(神経細胞基盤)に対応させられる手段がないことが原因である。今回の課題は、膜電位光計測法でようやく可能になる研究であり、今、この研究を進めることが重要である。脳の大規模神経ネットワークの撹乱は多くの神経精神疾患の原因となる。本研究は、それらの疾患の予防、治療などの面でも資する。また、本研究で用いる全身麻酔薬の、妊婦、幼児への使用での遅発性の精神影響や、術後せん妄やその延長としての痴呆症のような深刻な副作用についての重要な知見も得られる。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
脳スライス標本において、広視野かつ高時間分解能での膜電位光計測法を確立し、神経活動の機能マップの作成に着手した。特に、前帯状皮質(anterior cingulate cortex, ACC)に注目し、神経応答の空間的広がりを記録するとともに、左右両半球間における情報伝達の神経回路機構を解析している。ACCは情動、意思決定、痛みの処理などに関与する領域であり、左右の皮質間の結合異常は多くの神経疾患の病態と関連している。本研究では、脱髄性疾患である多発性硬化症のモデル動物を用い、ACCにおける両側の神経伝導異常とそれに伴う活動パターンの変化を膜電位イメージングにより可視化することに成功した。得られた結果は、脱髄による機能的変化をリアルタイムかつ定量的に把握できる可能性を示しており、今後の病態評価法の基盤となり得る。これらの成果の一部は、すでに国内外の複数の学会にて口頭およびポスター発表として報告しており、さらに学術雑誌にも論文として掲載された。また、得られた技術および知見は他の神経疾患モデルや老齢マウスを対象とした共同研究にも活用されており、本研究の手法と結果が神経回路の病態理解に広く貢献しつつある。
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| 今後の研究の推進方策 |
脳スライス標本を用いた膜電位光計測による機能マップの作成は、現在順調に進行しており、今後は前帯状皮質に限らず、他の脳領域にも対象を広げ、異なる部位および断面における脳全体の機能マップ作成へと展開していく予定である。加えて、当初の計画に含まれていた病態モデルマウスの準備も進めており、脱髄モデルに加えて老化モデルや炎症モデルなど、多様な病態を対象とした比較研究を進める。これにより、疾患による神経回路の機能的再編や伝導異常の全体像を可視化・定量化することを目指す。また、全身麻酔薬の脳活動に及ぼす影響についても、既に確立された基準機能マップと比較することで、薬剤による神経活動抑制やネットワーク変化の部位特異性を明らかにしていく。さらに、in vivo計測系については、すでに頭蓋にウインドウ(cranial window)を設置し、覚醒状態での膜電位計測が可能なシステムの確立に向けた技術的基盤が整いつつある。このin vivo系を活用し、覚醒および麻酔状態における脳活動の違いや、意識状態に対応する神経ダイナミクスの空間的・時間的特性を明らかにすることで、意識の神経基盤の一端に迫ることを目指す。
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