研究課題/領域番号 |
23K18487
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
葛岡 英明 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (10241796)
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研究分担者 |
吉田 成朗 オムロンサイニックエックス株式会社, リサーチアドミニストレイティブディビジョン, シニアリサーチャー (40808531)
橋本 敦史 オムロンサイニックエックス株式会社, リサーチアドミニストレイティブディビジョン, シニアリサーチャー (80641753)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | ヒューマンロボットインタラクション / 遠隔コミュニケーション / インフォーマルコミュニケーション / ロボット / グループウェア / CSCW |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、在宅勤務の普及によって失われがちな偶発的なコミュニケーションを遠隔地間で誘発することができる代理ロボットを開発する。ロボットは、人がロボットに示す動作の認識と、コミュニケーションの誘発に効果的な動作を人に対して提示出来る機能を有する。この研究を通して、偶発的な遠隔コミュニケーションの機序に関する、人の特性とシステムの設計原理を明らかにする。本研究では、対面環境における人々の会話の開始手順に関する知見にヒントを得つつも、ロボットを介した人と人の遠隔コミュニケーションという異なる状況に適したコミュニケーション開始手順を明らかにしようとする点が挑戦的である。
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研究実績の概要 |
本研究では、在宅勤務によって失われがちな偶発的なコミュニケーションを遠隔地間で誘発する代理ロボットを開発し、偶発的な遠隔コミュニケーションの機序に関する人の特性とシステムの設計原理を明らかにすることを目指している。想定する偶発的コミュニケーション誘発の手順は以下の通りである。会社のオフィスとホームオフィスに代理ロボットが設置されている。ホームオフィスの社員(在宅社員)が雑談可能である場合には、システムは雑談モードになる。ある社員がそれに気がつき、在宅社員と会話する意図を示す行動をすると、オフィスのロボットがそれを認識し、ホームオフィスのロボットを動作させて在宅社員に気づきを与える。在宅社員がそれに気づいて、会話の意思を示す動作をすると、回線が開いて会話が可能となる。 年度前半は過去に当研究室で製作した、凹面の目を2つ持つロボットを利用して、予備的な実験をおこなうことを試みた。しかし、装置が比較的大きかったことと、機構的な問題から、動作音が大きく、自然な雑談を誘発するには目立ちすぎることがわかった。そこで、もう少し小型で、静かに動作しつつ、視線が明確に伝わるロボットを開発することとした。 年度後半には、人に対して視線を向けることができるミニマルなデザインのロボットとして、1つ目のロボットを試作した。目は凸面と凹面を切り替えることができると共に、チルト方向に制御できる。また、ロボットの胴体の向きはパン方向に制御できる。ロボットの後方には広角のカメラを設置し、このカメラによってロボットの周辺の人を検出する。人々がロボットから遠方にいるときには目を凹面にして、複数人に対して視線が向くようにし、近距離に近づいた場合には目を凸面にして特定の人に対して目を向けるようにした。このロボットを利用して、どのような動作が雑談の誘発に効果的であるかを明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まず、ミニマルなロボットのデザインに時間を要した。どのようなデザインがオフィスにおいても違和感が無いかを検討しつつ、様々な形状・大きさのロボットを試作する必要があった。さらに、単に目を凹型にするだけでは、照明による影のでき方によってはホロウマスク錯視が発生しないことがわかり、目の塗装の仕方やロボットへの組み込み方について、複数の方法を試す必要があった。これらの調整に予想以上に多くの時間を費やした。
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今後の研究の推進方策 |
まず、ロボットに対する人の距離と顔の向き、さらにロボットに対する人の近づき方などの情報に基づいて、ロボットの眼球と胴体の向きを制御するためのソフトウェアを開発する。まずはこのロボットを展示会会場等に設置し、ロボットが来場者の関心をひいて、近寄らせるための動作を明らかにする。このとき、ロボットの動作に対する来場者の反応を分析しつつ、多様な方法を試み、その結果を比較検討することによって、最適な動作手順を明らかにする。 次に、在宅者側のソフトウェアを開発する。具体的には、在宅社員に気づきを与えるロボットの動作をデザインし、さらにロボットに対して話しかけようとする意図の検出をおこなう。会社オフィスの社員と、在宅社員の双方が対話する意図を示したときにのみ、通信回線が開くようにする。 並行して、実験に使用するために安定して動作するロボットの開発を進める。
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