研究課題/領域番号 |
23K18494
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
細田 耕 京都大学, 工学研究科, 教授 (10252610)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 空気圧人工筋 / 生物模倣 |
研究開始時の研究の概要 |
協働ロボットの実現のために,ロボットが人間と同等の柔らかい人工筋骨格構造を持つことは,さまざまな利点がある. 人の筋構造が,故障に関して頑健であったり,アクチュエータ単体の能力を超えるような力を出すことができるのは,一つの関節を3本以上の筋で動かす冗長なシステムだからであり,そこには筋がゆるむことができるスラック構造が大きく関係していると考えられる.本研究では,空気圧人工筋によって駆動される協働ソフトヒューマノイドを実現するために,人間の筋骨格構造を参考にしながらゆるみを許容するようなスラック人工筋構造を設計し,筋間のエネルギ授受を制御することで省力制御を実現する.
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研究実績の概要 |
2023年度の研究実績は以下のとおりである. (1)冗長な人工筋を持つロボットのスラック(緩み)を制御するためのロボットの設計論の確立を目指す.関節角によって張力を自動的に調整するために,非円形プーリを設計した.具体的には,冗長な2関節筋を有する2関節のロボットを試作し,その動きがスムーズ,かつ一関節筋のみの場合に比較して可動範囲を広げるために,非円形プーリを設計,実験によって期待した通りのスムーズな動きと可動範囲が実現できることを確認した. (2)空気圧人工筋の力学的モデルを精査し,圧力センサ,張力センサと長さの関係について,一般的な式を定義した.この式の係数を静的な実験によって同定することにより,空気圧人工筋にとりつけられた圧力センサ,張力センサの信号から,力学的モデルに基づいて長さを推定する方法を提案した. (3)生物筋に見られる伸張反射を,人工筋駆動ロボットの基礎的制御モジュールと仮定し,その伸張反射を実装して,外乱に対してどのような反射行動を創出するかを実験的に示した.その際,すでに開発している可変抵抗テキスタイルを使った長さセンサを用いたが,(2)で提案した力学的モデルに基づく長さ推定を伸張反射に活用する準備を行った. (4)ロボットの位置エネルギ,速度エネルギだけではなく,圧縮空気に含まれるエネルギを考慮に入れ,ポートハミルトニアン原理に基づいて一リンクの空気圧人工筋ロボットを制御する方法について検討を行った.IDA-PBC法に基づき,一リンク空気圧人工筋を制御する実験を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人工筋駆動協働ソフトヒューマノイドのスラック筋構造を作り,省力制御を実現するために,冗長な人工筋を持つロボットのスラック(緩み)を制御するためのロボットの設計論を確立し,ポートハミルトニアン原理に基づきロボットを制御するために,状態量を再定義した.これらの手法は,これまでの電気モータを基にしたロボットとは異なる,特有の性質を示しており,最終的に省力制御を実現するための構成要素になる.研究一年目として,順調に進んでいると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
非円形プーリを有する二関節筋を含む筋骨格ロボットを使い,開発した状態量推定方法を基に,ポートハミルトニアン原理にしたがって制御を行う.
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