研究課題/領域番号 |
23K18499
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
硯川 潤 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 福祉機器開発部, 研究室長 (50571577)
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研究分担者 |
長谷 和徳 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (10357775)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | デジタルファブリケーション / 自助具 / 筋骨格モデル / 3Dプリンタ / 3Dスキャナ / 設計支援 / 福祉工学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,上肢筋骨格モデルに障害起因の機能不全を再現することで,軽作業用の補助器具である自助具の形状設計を飛躍的に簡略化・精緻化する.経験的・試行錯誤的だった医療専門職による自助具製作過程をデジタルモデル導入で体系化し,個人特性に適合した形状最適化を実現する.これにより,近年進みつつある3Dプリンタ導入との相乗効果を狙い,臨床現場で短時間の内に調整・製作が完了するワンパス適合設計を目指す.
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研究実績の概要 |
3Dプリンタをはじめとするデジタルファブリケーション技術の普及に伴い,リハビリテーション分野において作業療法士が製作する自助具への適用が進みつつある.しかし,身体機能・構造への適合は試用評価と調整を繰り返す試行錯誤的なプロセスに依存しており,利用者への負担が大きい.今年度は,主に以下の2点を実施することで,既存自助具設計のプロセスを大きく改善する手法の構築を試みた. 手指等とのフィッティングが重要な自助具のワンパス設計には,3Dスキャナによる正確な形状計測が有用である.しかし,計測データから自助具形状を自動設計するためには,単純な形状の転写だけではなく,手指関節の位置関係や角度などの幾何学情報を抽出する必要がある.そこで機械学習を用いたデジタルハンドモデルにより幾何学情報を自動抽出し,自助具設計に利用する手法を開発した.同手法を頸髄損傷者が用いる書字用自助具に適用し,母指・示指への装着部及び筆記具固定部の形状設計を自動化した.健常者を対象とした評価実験では,個々の手指形状に対応した自助具モデルを生成できることを確認した. また,急性期リハビリテーションから生活環境整備にわたる多様な自助具ニーズに対応するためには,個別適合可能な基礎形状ライブラリの整備が有用である.今年度は,代表者がこれまでに整備してきたライブラリに,脳卒中患者の急性期リハビリテーション向け自助具基礎形状を追加した.さらに,基礎形状の組み合わせで簡易に自助具設計が可能となる設計支援ソフトウェアの臨床評価に向け,必要となるログ収集・解析手法を検討し,実装を完了した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度に実施予定の実ユーザを対象とした臨床評価実験に向け,必要となるシステム開発や健常者での予備評価を完了できた.また,代表者所属機関の医療専門職との連携を開始し,評価プロトコルの策定に着手できた.以上より,次年度に速やかに評価実験を開始できる準備を完了でき,順調に進捗していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,今年度開発した自助具設計手法の評価実験から改善点を抽出し,臨床現場での活用に向けた機能の充実を目指す.特に,医療機関等での医療専門職による使用を想定し,デジタルファブリケーション技術に関する知識や技能を必要としない設計支援手法を志向する. まず,3Dスキャナを用いたワンパス設計手法については,上肢機能に応じた設計パラメータの自動設定手法を新たに考案・実装し,書字自助具設計においてその有用性を確認する.特に,把持対象物とユーザが生成可能な筋力・関節トルクとの関係に着目し,自助具の使用目的に応じた形状の最適化を実現する. また,基礎形状ライブラリを用いた自助具の組み合わせ設計についても,急性期病院での迅速な自助具適合を実現するための機能改善を実施する.
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