研究課題/領域番号 |
23K18503
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分62:応用情報学およびその関連分野
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
長谷川 英之 富山大学, 学術研究部工学系, 教授 (00344698)
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研究分担者 |
斎藤 こずえ 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (80398429)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 超音波 / ビームフォーミング |
研究開始時の研究の概要 |
医用超音波診断は非侵襲に体内の断層像を計測できる手法として臨床で広く活用されている。体内からの超音波反射波はビームフォーミングに基づき画像に変換されるが,音速を仮定する必要があることと,超音波送受信器の物理的な開口幅によって分解能が決定されてしまうなどの制約がある。本研究では,地中探査などの分野で用いられている技術と医用超音波イメージングの融合を図り,超音波画像の虚像などを低減し画質の向上を図る。
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研究実績の概要 |
超音波診断装置の画像は,生体内に超音波を送信し,生体組織の音響インピーダンス不均一性により散乱された超音波エコー信号を計測することにより構築され,画像の輝度はエコー信号の振幅に依存する.超音波エコー信号は,音響インピーダンスの不均一性に依存して発生するが,超音波伝搬過程における減衰などの影響も複雑に絡み合っているため,エコー振幅から生体組織の物理的特性を定量的に評価することは難しい.本年度は,媒質の物理的特性である音速を定量的に計測するため,地中探査における音速推定技術を医用超音波イメージングに適用可能かどうか検証するための基礎的検討を行った.そのために1次元波動伝搬モデルによる数値シミュレーションを行った.1次元波動伝搬モデルにおいて音速分布を設定することにより,モデルからの超音波エコー信号をシミュレーションできる.そのように模擬したエコー信号からモデルの音速分布を推定を試みた.音速分布の推定には,推定値の初期値を設定する必要があるため,基礎的検討として音速分布の初期値は均一な分布を設定した.初期値を設定すれば,その初期値分布からのエコー信号をシミュレーションできる.そのようにして得られた推定値分布からのエコー信号と,真の音速分布からのエコー信号の差を誤差関数とし,誤差関数を最小化するように音速分布推定値を更新する.本研究では,音速推定値の変化に伴う誤差関数の変化量である微分値をもとに音速推定値を更新する最急降下法を用いて音速分布推定値の最適値を推定する手法を検討した.数値シミュレーションによる結果から,計測されたエコー信号と音速分布モデルから理論的に得られるエコー信号の差を繰り返し演算によって低減することにより,真の音速分布と同様の分布を推定できることを示すことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設定した音速分布モデルから理論的に得られる超音波エコー信号と,計測されるエコー信号の差を最小化することにより音速分布を推定する手法について基礎的な検証が行えており,おおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
音速分布モデルを設定し,モデルから理論的に得られるエコー信号と計測されるエコー信号との誤差を最小化することにより音速分布を推定できることを示したが,最小化のためには音速変化に伴う誤差の変化量(微分値)の計算負荷が大きい.今後は,微分値の計算量を削減する手法を開発するとともに,2次元イメージングへの適用を目的として,音速分布モデルを2次元に拡張した場合における最適化手法について検討する.
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