研究課題/領域番号 |
23K18512
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分62:応用情報学およびその関連分野
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研究機関 | 東北工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 郁郎 東北工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (90516311)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | フィードバックループ / 微小電極アレイ / 電気活動 / CMOS-MEA / 記憶・学習 / AI / 脳活動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「学習・記憶機能を調整する新たな刺激パターンを探索すること」を目的とする。具体的には、24万電極CMOS-MEAで得られる脳回路活動をリアルタイムでAIに接続し、AIが機械学習によって学習・記憶機能を調整する刺激パターンを生成し、脳回路に電気刺激を行う、フィードバックループシステムを構築する。AIが生成した刺激パターンの特性を理解してゆく。
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研究実績の概要 |
脳回路とAIのフィードバックループシステム開発とCMOS多電極アレイを用いた電気刺激のための条件検討を行った。 ①脳回路とAIのフィードバックループシステム開発 培養神経細胞および脳スライスに対するフィードバックループをテストを初めにMED64システムを用いて開始した。培養したラット初代海馬由来神経細胞およびマウス生体海馬スライスに対し電気刺激を行うことで、誘発応答が得られることを確認し、TCP/IP通信を用いて、計測装置からリアルタイムに信号を受信できる実験環境を整備した。また、24万もの電極を備えたCMOS多電極アレイ(CMOS-MEA)から取得したビッグデータを用いてフィードバックループを実現するため、神経活動が活発に観測された電極のデータのみをバイナリファイルとして保存し、MATLABで読み込みおよび解析する実験系を構築した。この方法により、処理速度が大幅に向上し、計測時刻から刺激印加時刻までの時間が短縮されることが確認された。さらに、CMOS-MEA上の海馬スライスから得られた神経活動データに周波数解析を行うことで、γオシレーションが出現する領域を可視化することに成功した。 ②CMOS多電極アレイを用いた電気刺激のための条件検討 24万電極を有するCMOS-MEAは、そのスケーラビリティ故に各電極のサイズが10 μmと極めて小さい。このような微小電極を用いて効率よく電気刺激を細胞に導入するには、電極の改良が重要である。そこで、電極表面に表面修飾を行うことで、低インピーダンス電極の作製に成功した。また、作製した修飾済CMOS-MEA上にラット初代海馬由来神経細胞およびマウス生体海馬スライスが培養できることを確認した。加えて、システムが正常に動作し、電気刺激の強度が増大することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
記録装置から解析PCへの計測データのリアルタイム送信の目途が立ち、フィードバックループの実験を行うことができるようになった。また、CMOS-MEAでの電気刺激の検討が進み、フィードバック実験に適した電極アレイを作製することができた。以上のことから、おおむね当初の計画通りに進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は培養神経細胞に対するフィードバックループ実験を開始し、電気刺激によって神経ネットワークのオシレーション強度がどのように変化するか調査する。また、オシレーション強度の調整に至適な刺激パラメータを探索するAIアルゴリズムを開発し、実験者の手を介さない神経ネットワーク―AI間相互学習系の構築を目指す。
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