研究課題/領域番号 |
23K18523
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
浦本 豪一郎 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 講師 (70612901)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2025年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 微小マンガン粒 / 鉱物分離 / 化学状態分析 / マンガン / 物質動態 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、外洋深海の地層試料等から見つかり,深海底とその地下に大量に存在するマンガン鉱物の"種"とみられるマンガン酸化物の微粒子「微小マンガン粒」の形成と存続のメカニズム解明に挑む。研究代表者らの研究で、微小マンガン粒は外洋域の"酸素を含む"深海底地下のみ、膨大な数で存在し、環境中の金属元素の重要な保持媒体で、深海環境で持続的に生じる金属元素動態に少なからず寄与することを明らかにしてきた。本研究では深海域での金属元素動態の実体を見定めるアプローチにおいて、地層中の鉱物に加えて微生物も対象とすることで、金属元素局在化の要因など、持続的に生じる金属元素動態に関わる新知見を得る。
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研究実績の概要 |
マンガンは地球表層で鉄・チタンに次ぐ存在量の金属元素で、海洋の90%以上を占める外洋深海に、希少金属を濃集した鉱物資源「マンガンクラスト・団塊」として海底を埋め尽くす。マンガン鉱物は水圏-地圏の境界域に多産することから、環境中の金属元素動態を理解する上で重要な研究対象だが、深海でのマンガン鉱物生成や大量に存在する要因は謎だった。 天然地層環境中のマンガン鉱物は、酸化還元状態を把握することが、その形成要因や存在環境の特徴を把握する上で必要となる。しかしながら、天然地層試料の処理技術において、従来は、高エネルギーの光照射を伴う試料処理が必須であり、それによってマンガン鉱物が還元化する反応が生じ、化学状態が人為的に変化することが課題となっていた。 本研究遂行において、天然海底下環境中の微細なマンガン鉱物粒子を調べる上で、まずこの点を解決することが必須であったため、高エネルギーの光照射を伴わずに、試料処理過程における遠心分離技術や重液処理を工夫することで、海底の泥からマンガン鉱物を濃縮する試料処理法を構築した。その結果、本研究対象とする微小マンガン粒を含めて、マンガン鉱物の酸化還元状態を変化させることなく、試料分析が可能となり、研究遂行の基盤技術を構築できた。これによって、微小マンガン粒が酸化的な環境で形成したこと、および現在の微小マンガン粒が存在する環境が、酸化的な環境となることなどを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究遂行の基盤技術を構築できたことで、微小マンガン粒の形成プロセスを明確にしたことや、微小マンガン粒が存在する海底下環境が、酸化的な環境であることなどを示した。以上から、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の取り組みで基盤技術を構築したことを踏まえて、今後、海底地層や現場実験試料で得られている微小マンガン粒の詳細な微細構造を把握し、海底下に膨大な金属を保持する媒体としての微小マンガン粒の形成機構を検討する。また、様々な海底下環境試料に含まれる微小マンガン粒の分析を進めることで、酸化還元環境の指標としての微小マンガン粒の有用性の確立を目指す。
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