研究課題/領域番号 |
23K18528
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
鈴木 芳代 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 量子バイオ基盤研究部, 上席研究員 (10507437)
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研究分担者 |
舟山 知夫 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 量子バイオ基盤研究部, 上席研究員 (40354956)
五十嵐 龍治 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, チームリーダー (90649047)
神長 輝一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 研究員 (90825176)
柳 瑶美 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 博士研究員 (90911280)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | マイクロビーム / 量子センシング / ラジカル / 線虫 / マイクロビーム細胞照射 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者らは、放射線の一種である重イオンのマイクロビームを線虫(C. elegans)の中枢神経系にピンポイント照射することに世界で初めて成功したが、神経細胞(ニューロン)レベルの応答の検出は未だできていない。特に、放射線の間接作用の主因である放射線由来のラジカルに対する個々のニューロンの応答は重要だが、応答解明に重要なラジカルを直接検出きる技術はこれまでなかった。 そこで、本研究では、研究分担者らの蛍光ナノダイヤモンドによる生体内物理・化学パラメータ計測技術をマイクロビーム細胞照射技術と組み合わせることで、線虫の中枢神経系のニューロンの応答を照射前から照射後まで継時的に捉えることを目指す。
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研究実績の概要 |
放射線の生体作用の7割を占める間接作用には、照射で生成するOHラジカル等の活性酸素種(ROS)が関与しているが、照射後の細胞内に生じDNAに損傷を生成することで細胞にダメージを及ぼすラジカルを直接検出する技術は存在せず、その存在は理論的に、又は間接的計測により証明されてきた。そこで、本研究では、「生きた動物個体への重イオンマイクロビームピンポイント照射」と「蛍光ナノダイヤモンドを用いた量子センシング」という二つの独自技術を有機的に組み合わせ、細胞レベルでのラジカル応答計測を実現し線虫の放射線応答メカニズムを明らかにすることを目的とした。 令和5年度は、重イオンマイクロビーム照射装置専用量子センシングデバイスの設計と細胞への量子センサー(蛍光ナノダイヤモンド)の導入条件の検討を並行して進めた。 舟山、神長、五十嵐を中心に、線虫の中枢神経系に重イオンマイクロビームを照射し、照射由来ラジカルを直接計測することで局所放射線応答を捉えるための計測系の仕様を検討した。特に、多くの機器が取り付けられた重イオンマイクロビーム照射装置の限られたスペースに設置し、制約の多い照射室の条件下で通常の量子センシング同等の計測精度を担保するシステムとするために、最適な方法、デバイス構成を入念に検討した。 一方、鈴木と柳は、線虫の特定の細胞に安定して量子センサーを留置するため、種々の条件で細胞に量子センサーを導入し、当該細胞のバイアビリティの確認を行った。 上記に加え、学会や研究会等にて、本研究の取組みや成果を発表/紹介するとともに、量子センシング技術や生体放射線応答解析、線虫実験技術に関する情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、着実に研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、量子センサーを導入した線虫個体に重イオンマイクロビームを照射し、当該細胞のタイムラプス量子センシングを行う計画である。具体的には、重イオンマイクロビーム照射装置専用に開発した量子センシングデバイスを用いて、重イオン照射直後から細胞内温度やラジカル量を継時的に計測することを目指す。
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