研究課題/領域番号 |
23K18536
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
奈良 一秀 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (60270899)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 屋上緑化施設 / 絶滅危惧植物 / 菌根菌 / 希少植物 |
研究開始時の研究の概要 |
都市環境の改善のため近年増加している屋上緑化施設を希少植物の保全拠点として活用できないかを検討する。特にラン科などの特定の菌類と共生しなければ生きていけない植物の保全では、日常的な管理によって微生物環境を維持しやすい屋上緑化施設の方が遠隔の林地よりも域外保全場所として適している可能性がある。都市住民の眼前で希少植物保全が実現できれば、生物多様性保全の啓発としても大きな意味がある。
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研究実績の概要 |
屋上緑化施設において、絶滅危惧種に指定されているような希少植物の栽培が可能な微生物環境が存在するのかを解析した。具体的には、都内のブナ科樹木が植栽されている屋上緑化施設(新宿、銀座、目黒)において、対象樹木周辺の土壌を採取し、外生菌根を抽出してDNA解析によって菌種の同定を行なった。また、菌根菌群集の比較のため、都内のブナ科樹木が植栽された地上の公園でも同様の解析を行なった。その結果、屋上緑化施設においても地上公園と同程度の外生菌根菌が既に定着していること、イボタケ科やベニタケ科など森林生態系で優占するような菌種も多数存在することが明らかにされた。これらの屋上に定着している菌根菌は、地表の公園でも見られていることから、地表から菌根菌の胞子が風散布によって屋上まで飛来している可能性がある。また、一部の動物散布菌種も屋上緑化施設で確認されたことから、植栽時に苗とともに持ち込まれてそのまま屋上環境で生存している可能性もある。 イボタケ科やベニタケ科は絶滅危惧植物であるキンランの共生菌であることが知られている。キンランは光合成能力を有するものの、必要な炭水化物の半分程度を周辺樹木から菌根菌を通して受け取っていることことが知られており、生存には適合する菌根菌との共生が不可欠である。今回得られた結果は、少なくともキンランなどの林床に生育する希少植物が生育するための共生微生物環境が屋上緑化施設に存在することを示しており、次年度以降、実際に植栽して生育状況をモニタリングする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに解析が進み、希望していたような研究結果が得られているので概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに研究を実施する。
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