研究課題/領域番号 |
23K18546
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
椿 俊太郎 九州大学, 農学研究院, 准教授 (90595878)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | マイクロ波 / 高周波 / バイオマス / 抽出 / 酸化分解 / ポリオキソメタレート / プロトン移動 / 有機廃棄物資源化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、高周波を用いてポリオキソメタレート(POM)触媒上のプロトン移動を自在に制御し、食品廃棄物など高含水有機炭素資源の効率的な酸化分解と水素の同時製造を達成する。まず、応募者の独自開発によるin situ XAFSなどの直接観測手法を駆使して高周波によるPOMの還元加速機構を明らかにする。続いて、POMに強電界を与える高周波装置を併用し、POMを介した触媒反応を制御する手法を確立する。本方法を用いて有機炭素資源を電子源として温和な条件でPOMを還元するとともに、さらに、生成したプロトン化POMからH2を回収する反応を開発する。
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研究実績の概要 |
高周波~マイクロ波領域の電磁波を用いて、バイオマス由来の化合物の高選択的な分離を試みた。特に、高含水バイオマスとして、食品廃棄物と藻類バイオマスに着目し、これらのバイオマスを含水のまま構成成分を分離し、その後、触媒的に酸化分解を行う計画である。2023年度は特に藻類バイオマスからの構成成分の分離過程について検討した。マルチモード型マイクロ波装置を用いた場合、緑藻系の大型藻類バイオマスから硫酸化多糖を高効率で抽出可能であることを見出した。複素誘電率測定から硫酸化多糖はイオン伝導性のマイクロ波吸収特性を示すことが分かった。さらに、200 MHz、915 MHz、2.45GHzを用いて加熱を行ったところ、高周波では顕著な加熱効率の向上が見られ、糖鎖の選択加熱が生じていることが分かった。一方、2.45GHzでは水の選択加熱が生じることが分かった。糖鎖の抽出を行ったところ、予想外に2.45 GHzのマイクロ波において糖鎖の抽出加速が生じた。これは、2.45GHzによる水の選択加熱が糖鎖の抽出有効であることを示している。さらに、マイクロ波in situ SAXSを確立し、マイクロ波では低温で糖鎖の高次構造が変化することが示された。現在、本結果について論文を投稿中である。今後は、抽出された糖鎖について、酸化触媒を用いた酸化分解反応を確立する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度計画に従って研究成果を出しており、国際会議での発表や論文投稿も進んでおり、おおむね順調に進んでいると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に完成したバイオマス構成成分の分離手法を元に、抽出物の触媒変換を進める。酸化触媒として、ポリオキソメタレートを用いて抽出糖鎖の酸化分解を加速する。まずは、モデル単糖を原料として、複数のマイクロ波および高周波の照射下において、ポリオキソメタレートをもちいた酸化分解加速の周波数依存性を明らかにする。さらに、ポリオキソメタレートの酸化還元電位を変化させ、マイクロ波による触媒活性の変化を確認する。また、マイクロ波 in situ XAFSやマイクロ波 in situ 共振周波数測定を用いて、マイクロ波照射中の触媒の酸化還元状態の変化を追跡する。これらの知見をもとに、最終的に反応条件を最適することによって、バイオマス構成成分の分離から完全酸化分解までの反応系を完成する。
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