研究課題/領域番号 |
23K18555
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
下田 浩 弘前大学, 医学研究科, 教授 (20274748)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 脳内リンパ系 / Glymphatic system / 3Dバイオチップ / 組織工学 / 3次元バイオチップ |
研究開始時の研究の概要 |
Glymphatic systemは神経変性疾患の発症に関与する脳のデトックス機構として注目されているが、その構造と機能は不明であり、これを解明するには研究モデルの開発が不可欠である。本研究は独自に確立した細胞集積法と組織界面接合技術を用いてヒトGlymphatic systemの分子解剖学的特性と組織液灌流機構を生体外で再現する3次元バイオチップの開発に世界で初めて挑戦する研究である。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、ヒト細胞を用いたGlymphatic system-3Dバイオチップの組織開発に必要な組織デザインの構築、ならびにそれに要する基盤環境の整備と予備実験を行った。組織デザインはアストロサイトの三次元培養が中心となるため、その基材として大脳皮質間質に近い成分を含む親水性ハイドロゲルを選択し、ゲルの硬度とアストロサイトの細胞密度の最適化を行っている。また、本モデルでは血管周囲腔(perivascular space)および脳実質組織とperivascularspaceを隔てる境界(基底)膜となるグリア性境界膜(Membrana limitans gliae)を三次元アストロサイト組織の上面と下面に付与する。特にMembrana limitans gliaeの形成にはアストロサイトの終足突起も加えたバリア構造を必要とする。このため、基底膜抽出物をナノレベルで薄層化したMembrana limitans gliae様構造の形成に取り組んでいる。これにさらに線維芽細胞の積層配置を加えることで血管周囲腔の三次元構築化を図っている。令和6年度も上記を引き続き行い、Glymphatic system-3Dバイオチップの組織構築と構造・機能評価につなげる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GLSBTの開発に必要な器具および試薬を選定し、組織デザイン最適化のための実験を進めている。概要に述べた通り、ハイドロゲルにおけるアストロサイトの三次元培養、Membrana limitans gliaeの形成について、トランズウェルを培養器として条件検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
アストロサイトの三次元培養、Membrana limitans gliae形成の条件が明らかになった後、線維芽細胞の三次元培養によりperivascular apaceにあたる層を更に本組織上下に付与する。この段階で、アストロサイト突起終足を含むMembrana limitans gliaeで組織液の流れを制御する機能分子(水・イオンチャネル等)の時空間的発現を明らかにする。また、透過型電子顕微鏡により上記の微細構造を生体の脳と比較し、機能形態学的な相同性について検討する。さらに、Membrana limitans gliaeを欠く組織をコントロールとして蛍光標識トレーサーの移動量および速度を比較すること等により、GLSBTの機能的な評価を行う。
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