研究課題/領域番号 |
23K18556
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山家 智之 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (70241578)
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研究分担者 |
白石 泰之 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (00329137)
深谷 碧 東北文化学園大学, 工学部, 助教 (20826060)
山田 昭博 公立小松大学, 保健医療学部, 准教授 (40781448)
吉澤 誠 東北大学, サイバーサイエンスセンター, 学術研究員 (60166931)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 銃撃 / 緊急循環再開 / 緊急左心補助 / ダイレクト左室穿刺 / 左心バイパス / 心停止下開胸心臓マッサージ / 開胸心臓マッサージ / 三分以内 / 心外傷 / 補助循環 / 左室穿刺 / 緊急 / 大腿動脈穿刺 |
研究開始時の研究の概要 |
銃で、胸を撃ちぬかれても、三分以内に、循環開始を処置できるような新しい発明で、次の犠牲者を救命したい。と言うのが本研究の目的である。プレリミナリーデータから右心系はフォンタン循環で維持できるデータを得ていおり三分以内の左心補助循環開始は可能である。新発明では左心補助循環が開始できた後に、磁気駆動システムで植え込み部分を最小に保つこともできる。胸を撃ち抜かれた救命を考えれば、まず緊急の輸液+輸血のルート確保が不可欠だが、チームが終結すれば可能である。そこで次の手段としての緊急開胸から左室穿刺可能なポンプ設計を進め、続いてシステムの動物実験を進め、左室穿刺で駆動可能なポンプ開発を試みる。
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研究実績の概要 |
奈良の銃撃事件が起こる前までは、安全なはずの日本で、こんな事件が起こると思っていた国民はほとんどいないが、現実にも日本では銃撃試験は圧倒的に少なく、大日本帝国以来の過去の日本の医学文献を網羅する医学中央雑誌では、報告はわずか25編である。つまり、この国には「銃撃された重症患者」の診療経験のある病院はほとんどない。人間は心停止すると十秒前後で意識を失い、三分で脳死に至る。三分以内にCPRが開始されなければ脳死が待っている。今回の症例では、もちろんまず止血が必要であり、三分以内の循環再開、傷の修復と、即座に始めなくてはならない補液+大量輸血など、循環液体確保が必要で、現実的には、間にあわなかった可能性は高いが、次の患者は必ず助けたい!というのは日本のほぼすべての医療従事者の願いである。 もちろん大量補液+輸血が必要となろうが、急ぐのは、循環再開でもあり、本研究計画では、世界最速の「三分以内で補助循環を開始できるシステム」が、研究計画目標である。 そのため新しい小型軽量植込型左心ポンプと、経胸壁的にでも、あるいは、開胸心マッサージをしながらでも、ダイレクトに左心室穿刺が可能なシースイントロデューサーの具現化であり、さらに大腿動脈アプローチが可能な送血カニューレからなるシンプルな「三分以内に駆動できる左心補助循環」の基礎研究を進め特許を取得し(特許5817062)、現在も、関連特許を申請中である。 わが国では現実的にはなかなか難しいが、例えば米国大統領の後ろには常に戦場救急車がついていると伝えられる。一刻も早くCPR開始し緊急で第4肋間開胸で「心臓の銃創」を手で止血しつつ、直接的な「開胸マッサージ」へ移行しこの補助循環システムを装着。動脈シースは三分かからないので、本発明を応用すれば「循環は三分以内に開始できる」。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
人間は心停止すると、十秒前後で意識を失い、三分で脳死に至ると言われる。申請者も、心停止の患者は数多く拝見させていただいたが、患者は心停止後ほぼ10秒余りで必ず意識を失う。今回の事件に関しては実質的に、まったく間にあわなかった可能性は高いが、胸を撃たれた場合でも開胸緊急止血だけは可能な場合もある。次の患者は助けたい!心停止に関する緊急時にはPCPS等が応用されるがエコーや透視下で右心房の位置まで挿入する必要があり、経験者ならすぐわかるが、三分以内の脳死を考える段階ではECMO確保は時間と手間がかかりすぎる。世界最速の「三分以内で補助循環を開始できるシステム」の発明が研究目的であり、既に、開発に着手し、予定以上に進んでいる。新しい小型軽量ポンプと、ダイレクトに左心室穿刺が可能なシースイントロデューサー、大腿動脈アプローチが可能な送血カニューレからなるシンプルな、「三分以内に駆動できる左心補助循環」を発明し、基礎研究を進め、すでに、基本特許を取得し(特許5817062)、初年度は開発及び実験にも着手したので、関連特許申請に進んでいる。すなわち、予定より早く進んでいる。 この新発明では、心停止に対してダイレクトに左心室に、穿刺を進め脱血確保する。と同時に、もう一人の術者は、大腿部の滅菌処理を行いつつ、大腿動脈にシースカテーテルを挿入する。申請者は数百例以上の心嚢穿刺の日本記録レベルの経験を持つが、三分以内の左心室へのエコーガイドの経胸壁シースカテーテル挿入は、十分に可能と、初年度の実験結果から考えるので、予定以上である。 米国大統領の後ろには常に戦場救急車と外科医が輸血パックがあるので心マッサージとCPRを確保し肋間開胸で「銃創」を手で止血しつつ、「開胸マッサージ」へ移行出来、三分はかからないので、本発明を応用すれば「補助循環は三分以内に開始でき」、予定より早く研究は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
銃で胸を撃たれても、三分以内に処置できるような新しい発明で、次の犠牲者を救命したい。本研究計画では非臨床試験・モデル循環・動物実験を進めてきた。初年度基礎データから右心系はフォンタン循環で維持できる可能性を示唆するデータを得ており臨床への可能性は十分にあると考えている。 患者さんの解剖学的状態が病態により大いに異なることは、申請者も数百例の心嚢穿刺の経験でよく知っている。心不全でも位置はシフトする。次年度にかけて超小型の皮下植込みポンプで、十分な左心補助性能が得られるのか?非臨床試験で確認しつつ人工心臓の回転制御、制御ロジック開発も必要でありこれを進める。穿刺カニューレの開発も必要で、大腿動脈シースカテーテルの開発も必要である。エコーガイドで緊急に対応するが、心窩部からの穿刺が可能か、心尖部に密着しているか、あるいは、右室前壁から、心室中隔を介してのアプローチも考えられ臨床データも駆使して最適な穿刺位置についての研究を進めるが、申請者はこれまで数百例の心嚢穿刺の経験を持ち手元のデータだけでも左室ダイレクト穿刺の方法論確立は可能だが更に心臓外科・麻酔科・体外循環技術部と共同で開発に当たる予定を進める。更に新発明である磁気駆動ポンプシステムの性能確保が必要でポンプ回転制御、制御ロジック開発も必要でカニューレの開発も必要で、シースカテーテルの開発も進めており非臨床動物実験でフィージビリティを確認し実用化への目処とする。新しい発明では心停止患者に対して開胸し心臓マッサージを進めながらダイレクトに左心室穿刺を進めシースを挿入すると同時に、もう一人の術者は滅菌しつつ大腿動脈にシースカテーテルを挿入する。 銃弾で撃たれても救急車にはいつもこの新しい補助循環システムを備えることで「胸を撃たれても死なずに済む医療」を目指す。すべて三分以内に可能なのである。
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