研究課題/領域番号 |
23K18568
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 一般財団法人電力中央研究所 |
研究代表者 |
齋藤 淳史 一般財団法人電力中央研究所, サステナブルシステム研究本部, 主任研究員 (30714539)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 電気薬学 / マイクロコイル / 電磁誘導 / 神経スフェロイド / グリアスフェロイド / スフェロイド / 変動磁界 / 液性因子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,マイクロコイルを内包した3次元状の神経組織(電磁駆動スフェロイド)を創製することで,外部からの変動磁界の印加によりマイクロコイルの内部に生じる電流や熱を介して神経組織からの液性因子の放出を人為的に制御できる手法を開発する。本研究を通じて,マイクロコイルと神経組織を有機的に融合する手法を確立するとともに,変動磁界の印加により電磁駆動スフェロイドから放出される液性因子を介して神経活動をワイヤレスで調節できる新しい細胞機能調節技術を開発する。
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研究実績の概要 |
計画初年度となる2023年度は,マイクロメートルオーダーの微小コイル(マイクロコイル)とヒトiPS細胞由来神経細胞を共培養することで,マイクロコイルとヒト培養神経回路網を有機的に融合するための予備的実験を実施した。また,細胞培養容器の底面に2次元状に培養したヒト培養神経回路網の上部にマイクロコイルを配置し,外部から印加する変動磁界によりマイクロコイルに誘導される電流を介して近傍の神経細胞をワイヤレスで刺激するための基礎的検討を実施した。実験の結果,マイクロコイル表面に細胞外基質(ポリリジン)を形成させることによりマイクロコイル表面に神経回路網が形成されることを確認した。しかし,マイクロコイル表面と神経細胞の接着は弱く,マイクロコイルを内包した神経スフェロイドの作製には至らなかった。そのため,マイクロコイル表面に効果的にヒト培養神経回路網を形成させるにはマイクロコイルのサイズや細胞外基質の種類、細胞培養の方法等に関して更なる検討が必要になると考えられた。一方,外部変動磁界とマイクロコイルを用いた神経活動のワイヤレス駆動に関する予備的検討を行なった結果,2次元培養されたヒト培養神経回路網に20 kHzのバースト状の変動磁界を繰り返し印加することで磁界の印加タイミングと一致した刺激誘発応答(細胞内カルシウム濃度変化)を観察することに成功した。以上の結果より,マイクロコイルと変動磁界を用いた神経活動のワイヤレス調節については考案手法を実証することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞外基質を形成したマイクロコイルとヒトiPS細胞由来神経細胞を共培養することでマイクロコイル表面への神経回路網の形成およびマイクロコイルに外部から変動磁界を印加することで,マイクロコイル内部への誘導電流の生成を介して近傍の神経回路網の電気的活動をワイヤレスで調節できたため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に続き,マイクロコイルの表面修飾および培養神経回路網との共培養に関する検討を継続し,マイクロコイルを内包した神経スフェロイドの作製を試みる。また,2次元培養したグリア細胞(アストロサイト)上にマイクロコイルを配置し,変動磁界による発熱等を介してグリア細胞の活動をワイヤレスで調節するための基礎的検討を行う。
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