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交感神経が投射した新規肝臓オルガノイド構築による肝線維化抑制手法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 23K18572
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分90:人間医工学およびその関連分野
研究機関東京大学

研究代表者

谷水 直樹  東京大学, 医科学研究所, 准教授 (00333386)

研究分担者 木戸 丈友  東京大学, 定量生命科学研究所, 特任講師 (00401034)
須藤 亮  慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (20407141)
研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
キーワードオルガノイド / 交感神経 / 胆管疾患 / 肝臓 / 自律神経 / 肝疾患
研究開始時の研究の概要

自律神経は生体の恒常性に重要な役割を果たしている。肝臓においても、血流や代謝との関連が知られているが、慢性肝疾患や再生においてどのような役割を果たしているかは不明である。我々は、交感神経が胆管増生や慢性肝疾患の病態である線維化に影響を与えること示唆するデータを得たことから、交感神経活性が肝障害の重症度や組織の線維化に関わっている可能性があると考えた。本研究では、肝臓オルガノイドを誘導する確立済みの技術に加えて、ヒトiPS細胞から交感神経を誘導する技術を新たに開発することで、肝臓組織に交感神経が投射したモデルを確立し、肝上皮―神経の相互連関を明らかにすることを目指す。

研究実績の概要

マウスにThioacetoamide(TAA)を投与することで肝臓線維化を誘導するモデルに対して、交感神経が発現するβ-adrenergic receptorのagonistであるIsoproterenol (ISO)およびantagonistであるPropranolol (PPL)を投与した。肝臓組織の線維化をSirius red染色で評価し、ISOおよびPPLによる線維化への影響を検討したところ、ISOとPPL投与によって、それぞれ線維化の亢進と抑制が起こることが明らかになった。ISO投与時の遺伝子発現プロファイルの変化を調べるためにMicroarray解析を行った。その結果、ISO投与によってコラーゲン発現の上昇とMMP活性を阻害するTIMP発現の上昇が認められた。
肝障害の進展における上皮―神経の相互作用の変化を解析するツールとして、神経支配を受けた肝臓オルガノイドを構築することが必要であると考えた。そこで、共培養に用いる交感神経細胞を得るために、ヒトiPS細胞から交感神経の誘導を試みた。既報を参考にして分化誘導を行い、細胞の形態観察、遺伝子発現のPCR解析に加えて、神経細胞共通マーカーと交感神経マーカーの発現を免疫染色で検討した。その結果、90%以上の細胞が交感神経細胞に分化していることを確認した。さらに、分化誘導したヒトiPS細胞由来の交感神経細胞に対してニコチンを添加したところ、培地へのノルアドレナリン分泌が認められた。以上の結果から、ヒトiPS細胞から機能的な交感神経細胞の誘導が確認された。共培養の予備実験として、肝臓オルガノイド用の培地を用いてヒトiPS細胞由来の感神経細胞を培養したところ、細胞の維持が可能であることが分かった。今後、交感神経細胞と肝臓細胞の共培養実験を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒトiPS細胞からの交感神経誘導が可能になり、オルガノイド作成を進めている。

今後の研究の推進方策

マウスへのTAA投与によって誘導される肝線維化に対して、線維化抑制効果を示したPropranolol (PPL, β-adrenergic receptor antagonist)投与モデルについて、組織解析と遺伝子発現解析を進め、交感神経の抑制が肝線維化に与える影響を解析する。
ヒトiPS細胞から誘導した交感神経細胞からスフェロイドを作成し、胆管接続型肝臓オルガノイド近傍に配置することで、両者の共培養を行う。まず、生体内と同様に胆管構造と交感神経の並走が再現されるかを確認する。次に、神経線維が進展した胆管接続型肝臓オルガノイドに対して、線維化に関与する肝星細胞および組織常在性マクロファージであるクッパー細胞を導入する。神経細胞、星細胞、クッパー細胞を含む肝臓オルガノイドに対して、肝障害を負荷し、胆管増生、星細胞の活性化、コラーゲン線維の蓄積などを指標に病態進行を評価する。
生体内の肝臓組織に近似した神経―上皮の相互作用を再現するために、新たに培養デバイス開発と共培養条件の至適化を試みる。シリコン樹脂を用いて神経スフェロイドおよび胆管接続型肝臓オルガノイドを設置する2つのコンパートメントを持つ培養デバイスを作製する。2つのコンパートメントを接続する通路の幅や距離を至適化することで、神経が上皮組織に進展可能な条件を設定する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] オルガノイド培養を用いた肝臓および膵臓のEx vivo組織構築2024

    • 著者名/発表者名
      谷水 直樹
    • 雑誌名

      実験医学増刊 オルガノイドがもたらすライフサイエンス革命

      巻: 42 ページ: 688-693

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Ex vivo liver tissue reconstitution by recapitulating vascular-epithelial interaction2024

    • 著者名/発表者名
      谷水 直樹
    • 学会等名
      第23回日本再生医療学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Three-dimensional reconstitution of liver epithelial tissue structures ex vivo enhanced with animal-origin-free recombinant protein and culture media2023

    • 著者名/発表者名
      谷水 直樹
    • 学会等名
      EMBL organoid symposium
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] マウス慢性肝障害モデルに対するβアドレナリン受容体アゴニスト投与による胆管増生の促進2023

    • 著者名/発表者名
      谷水 直樹
    • 学会等名
      第30回肝細胞研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Ex vivoにおける肝臓上皮組織の再構築2023

    • 著者名/発表者名
      谷水 直樹
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 生体外における3次元的な肝臓組織構造の再現2023

    • 著者名/発表者名
      谷水 直樹
    • 学会等名
      ライフサイエンスバイオマテリアル研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Reconstitution of liver epithelial tissue structures ex vivo2023

    • 著者名/発表者名
      谷水 直樹
    • 学会等名
      Hepatocellular Polarity: Neglected, Unique, Complex and Important
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2023-07-04   更新日: 2024-12-25  

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