研究課題/領域番号 |
23K18573
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
橋本 良秀 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (40638384)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 細胞外マトリクス / プロテオミクス / 筋サテライト細胞 / 脱細胞化生体組織 / ハイドロゲル / 組織特異的マトリクス / 骨格筋サテライト細胞 / ECMハイドロゲル / プロテオーム |
研究開始時の研究の概要 |
筋ジストロフィーのような進行性の筋疾患において、筋サテライト細胞移植による機能回復が期待されているが、筋サテライト細胞は生体外で培養すると筋細胞への分化が進行し、移植しても筋線維との融合がほとんど生じないことが課題であった。本研究は、脱細胞化骨格筋ハイドロゲルを用いて生体内における筋サテライト細胞の三次元的な微小環境を生体外で再現することで、筋サテライト細胞の機能制御と移植後の生着率向上を目指す挑戦的な研究である。
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研究実績の概要 |
種々の特性を有する脱細胞化骨格筋ハイドロゲルの作製方法の検討と機能評価を中心に進めた。まずは、脱細胞化手法の違いにより、得られる脱細胞化生体組織の組成や物性が異なることが知られているため、我々が開発した高静水圧処理(HHP)法と一般的な脱細胞化手法である界面活性剤法を用いて作製した脱細胞化筋組織(舌、大腰筋)の組織構造と主要構成成分(コラーゲン、グリコサミノグリカン、総タンパク質)の評価を行なった。HHP法では界面活性剤法に比べ組織構造や総タンパク質が保持されていることが明らかとなった。脱細胞化筋組織に含まれるタンパク質を同定・定量化するためにLC-MS/MSを用いたプロテオーム解析を実施した。同定されたタンパク質数は、HHP法で作製した脱細胞化組織では界面活性剤法で作製した脱細胞化組織に比べ5~7倍多いことが明らかとなり、未処理に類似した組成を有していることが示唆された。 種々の脱細胞化筋組織を酵素により可溶化・再構成することで脱細胞化筋組織由来ハイドロゲルを作製した。HHP処理筋組織に比べ界面活性剤処理筋組織では、よりリジッドなハイドロゲルが形成することが分かった。種々の脱細胞化筋組織由来ハイドロゲル上でヒト骨格筋サテライト細胞の培養を行った。コントロールとして用いたコラーゲンゲルや界面活性剤処理筋組織由来ハイドロゲル上では、顕著な細胞の増殖が観察された。一方、HHP処理筋組織由来ハイドロゲル上では、細胞の増殖はほとんど観察されず、骨格筋サテライト細胞が静止期で維持される可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、HHP法と界面活性剤法を用いた筋組織の脱細胞化条件の確立とプロテオーム解析による脱細胞化筋組織中に残存するタンパク質の同定と定量を実施し、さらに脱細胞化手法の違いが脱細胞化筋組織由来ハイドロゲルの形成・物性に与える影響を明らかにした。また、脱細胞化筋組織由来ハイドロゲル上でのヒト骨格筋サテライト細胞の接着・増殖について評価し、脱細胞化手法の違いが細胞機能に影響を与えることを明らかにした。以上の研究成果について学会等で発表した。したがって、本年度の目的は概ね達成され、本研究は順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
脱細胞化筋組織由来ハイドロゲル上での骨格筋サテライト細胞の分化・浸潤およびハイドロゲル包埋培養における細胞挙動について検討する。また、種々のハイドロゲルは物性が異なっているため、組成の影響のみを評価することが難しい。そこで、脱細胞化筋組織の可溶化液を培養ディッシュにコーティングし、組成の影響を明らかにする実験系を構築する。骨格筋損傷モデルマウスに対し、脱細胞化筋組織由来ハイドロゲルで培養した筋サテライト細胞を移植投与し、2、4週間において筋機能評価および種々の骨格筋マーカー(MyoD、 Myogenin、Myosin heavy chain)による組織学的評価により、骨格筋再生への寄与を解析する。
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