研究課題/領域番号 |
23K18592
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
小暮 健太朗 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (70262540)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | イオントフォレシス / 電気浴槽 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、全身皮膚中への核酸医薬送達用非接触型電気浴槽の開発とSF培養槽の実現を目指す。応募者は、電極非接触でも微弱電流を用いる経皮薬物送達技術イオントフォレシスが可能なことを見出し、電解質溶液中に生物個体を浸し電極非接触(電気浴槽)で、皮内に核酸医薬を送達可能だと仮説を立てた。本研究では、核酸医薬を全身皮膚細胞に送達可能な非接触型電気浴槽を開発し、SF世界の全身浸漬型培養槽の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
研究代表者は、微弱電流(0.3-0.5mA/cm2)を用いる非侵襲的な経皮薬物送達技術イオントフォレシス(ItP)研究に従事し、従来ItPには適用困難とされたsiRNA等の皮内送達に成功しており、ヒトのアトピー性皮膚炎などの治療が可能になると考え皮膚科専門医に相談したが「電極貼付部位にしか送達できないのでは、全身性皮膚疾患には適用できない」と言われたため、電極を接触させずに万遍なく全身皮膚へItP可能なシステム開発が必要だと考え、本研究において電気浴槽ItPによる皮内への核酸医薬送達による全身性皮膚疾患の治療システムの開発を目的とした。すなわち、電気浴槽を用いた非接触型(ItP)による全身皮膚への核酸医薬送達と、皮膚疾患治療可能なシステムの開発、さらにSF培養槽の実現が本研究の目的である。初年度は、1)オリゴDNA電気浴槽ItPによる皮内送達検証、2)皮膚炎モデル動物に対する治療用オリゴDNAの電気浴槽ItPによる治療効果検討、を実施した。1)オリゴDNAの電気浴槽ItPによる皮内送達の検証:培養皿壁にヒト心電図用Ag/AgCl電極を固定し電解質溶液を満した電気浴槽にマウス背中を浸し、蛍光標識オリゴDNA(分子量1万以上)存在下でItP(0.9mA/cm2、1時間)を実施し、一定時間後に皮膚凍結切片の共焦点レーザー顕微鏡観察によりオリゴDNAの皮内浸透を評価した。溶液だけでは浸透は観察されなかったが、皮膚表面濃度向上のためにオリゴDNA含有ハイドロゲルを用いたところ、皮内浸透に成功した。2)皮膚炎モデル動物に対する治療用オリゴDNAの電気浴槽ItPによる治療効果の検討:イミキモド塗布により乾癬モデルマウスを作成し、NF-kBデコイオリゴDNA含有ハイドロゲルを用い、電気浴槽ItPにより皮内送達後、皮内炎症性サイトカイン発現量を評価した結果、炎症の抑制傾向が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時に計画していた、オリゴDNA電気浴槽ItPによる皮内送達検証において、分子量1万以上のオリゴDNAをハイドロゲルを用いて皮膚表面濃度を向上させることにより、皮内に浸透させることに成功したことと、抗炎症作用を有するNF-kBデコイオリゴDNAを含有するハイドロゲルを用いて、電気浴槽ItPにより乾癬モデル皮膚に浸透させることで、有意ではないが炎症性サイトカインmRNAの発現抑制効果を得ることができたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
NF-kBデコイオリゴDNAの電気浴槽ItPによる乾癬モデル皮膚への治療効果の検討において、炎症性サイトカインmRNAの発現抑制効果を得ることはできたが、有意ではなかったことから、電気浴槽ItPによる処理条件を最適化することで、有意な治療効果の達成を目指す。また、当初計画のsiRNAの電気浴槽ItPに挑戦することで、より難易度の高い標的遺伝子mRNAノックダウンの達成を目指す。さらに、当初計画の最後に記したゼブラフィッシュを用いたSF培養槽(全身浸漬型電気浴槽ItP)実現の検討にも挑戦する。
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