研究課題/領域番号 |
23K18598
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大森 仁 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50771036)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 多値論理 / 非決定論的意味論 / 真矛盾主義 / 矛盾許容型論理 / 証明論的意味論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の主題は、多値論理の意味論の一般化とみなすことができるNon-deterministic semanticsである。その考え方自体は、哲学者の間で1960年代から様々な形で見られるが、2000年以降技術的な観点から大きな進展があった。しかし、哲学的な観点から技術的に得られてきた理解を踏まえた研究は未だないままであるという現状を踏まえ、Non-deterministic semanticsの、(i)古典論理との距離の検討、(ii)哲学的貢献の可能性の検討、そして(iii)非古典論理の立場からの展開の可能性の検討、の三つを目標としている。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は以下の三つである。第一に、多値論理の意味論をあくまで古典論理の意味論と同じように二つの真理値、すなわち真及び偽の二つを基本とする立場に着目し、その観点に基づいてNon-deterministic semanticsの前提を明らかにすること。第二に、従来の哲学的話題に対する貢献の再検討に加えて、証明論的意味論や真矛盾主義などに関連する話題への貢献の可能性を明らかにすること。そして第三に、特に基本的な矛盾許容型論理として知られているLogic of Paradoxに着目し、これを矛盾許容型論理に基づくメタ理論の中で展開する立場に立った上で Non-deterministic semanticsを哲学的観点・技術的観点の両方から再検討すること、である。 本年度の研究においては、特に第一の目的と第二の目的における証明論的意味論への貢献とについて研究を進めた。 第一の目的に関してはHerzbergerによる意味論とJC BeallによるOff-topicに関連したKleeneの弱三値論理との関連に関する論文を手がかりに、Off-topicを考える際の一つの方針とNon-deterministic semanticsとの相性が良いことが明らかになった。 第二の目的における証明論的意味論への貢献については、論理結合子の一意性についてのSara Ayhanによる証明論的意味論の文脈を手掛かりに、従来とは異なる見方が可能であることが明らかになった。 さらに、これら二つの目的と関連のある結果として、ある体系に関して二種類のNon-deterministic semanticsが展開できるという既存の結果を踏まえて、証明論も二種類の意味論に対応するものを明らかになった。この結果によって古典的立場に立つ場合の前提をさらに考える契機が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
時間の制約上、第二の目的における真矛盾主義への貢献については研究を進めることができなかった。しかし研究実績の概要において述べたとおり、第一の目的と第二の目的における証明論的意味論への貢献とに関連した結果が得られたことは予期していなかった成果である。これらを踏まえ、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、第一の目的と第二の目的における証明論的意味論への貢献に関する結果の深化と論文の形での発表を目指すとともに、第二の目的における真矛盾主義への貢献と第三の目的に関する研究に集中的に取り組み、少なくともまとまった結果を得ること、時間が許せば論文の形での発表を目指すこととする。
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