本研究は、中国・唐時代の墓室の入口に出現する天王俑という陶俑について、首都・長安のあった陝西省西安一帯における出土資料および国内外に収蔵される作例情報から、様式・形式比較などの美術史的方法を用いて、その成立過程と変遷の様子を明らかにするものである。 天王俑は、仏教造像の四天王像のように甲冑を身に着け、岩座で邪鬼を踏みつけるなどの形で表されるため、仏教美術とも関連が深い。そのため、関連する仏教美術との比較も行い、天王俑製作においてどのうな形が理想とされたのかを考察し、墓室という死者のための空間を守護する鎮墓俑の一群の中に置かれた天王俑の意義とその位置付けを再検討する。
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