研究課題/領域番号 |
23K18621
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
平野 貴大 筑波大学, 人文社会系, 助教 (00868490)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | シーア派 / 十二イマーム派 / イスマーイール派 / ザイド派 / アラウィー派 / イスラーム / イマーム派 / イスラーム神学 / イスラーム法学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、シーア派の圧倒的多数派を占める十二イマーム派の学者たちがイスラームの諸派を同じムスリムの同胞と見なすかどうかを考察するものである。イスラームの諸派としては、スンナ派、イスマーイール派、ザイド派、アラウィー派という4つの現存する宗派を取り挙げる。本研究は教義形成期にあたる10世紀から11世紀の法・神書、およびそれらを精緻化させた13世紀から14世紀頃までの文献をもとに、教義形成期の十二イマーム派のそれぞれの宗派に対する見方を分析する。そして現代の学者たちが初期の思想を継承しているか、どのように適用しているかを考察する。
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研究実績の概要 |
初年度では10世紀から11世紀頃の古典期、および現代の十二イマーム派学者たちの文献を分析し、同派のスンナ派観、イスマーイール派観、ザイド派観、アラウィー派観を考察した。単著(2024年5月出版予定)において十二イマーム派のそれぞれの宗派に対する見方を整理し、以下のことを明らかにした。スンナ派については概してイスラーム教徒の「反対者」と位置付けるが、ムハンマドの教友などシーア派イマームに敵対したことが知られる人物たちについてはイスラームから離脱した「敵対者」と位置付ける。イスマーイール派は「反対者」であるという見解もあるが、彼らが過去にイスラーム法を破棄したことを理由に彼らを「敵対者」や背教者と見なす見解もある。ザイド派は概して「反対者」と見なされる。イマームを神格化するアラウィー派はもはやイスラーム教徒とは見なされないことが多いが、現代ではイランとシリア、レバノンとシリアの政治的な思惑の中でアラウィー派もシーア派と見なされることがある。 初年度において参照できた資料が限定的であったため、十二イマーム派のザイド派観は十分は分析できなかった。単著執筆後の文献の入手と読み込みを通じて、古典期の十二イマーム派のザイド派批判の論点がイマームの「指名」論であることがわかり、その成果を2024年5月にイギリスで開催される国際学会で発表する。 また、2024年5月にイランで開催される国際学会において、シーア派のスンナ派観の具体的な事例として日本における両派の関係性を発表する予定である。日本においてシーア派もスンナ派もいずれも少数派であり、協力が必要な場合もある。そのような場合におけるシーア派の倫理観や法学的規定についても発表する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
採択前より文献の読み込みを進めていた結果、採択後にすぐに単著と学会発表の形で研究成果を公表することができたため、当初の予定より順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
当初はイランにおける文献調査とフィールド調査を予定しており航空券も購入していたものの、イスラエルによるイランへのテロ攻撃によって渡航の見直しを余儀なくされてしまった。ただし、イランへの渡航は本研究の遂行に不可欠であるため、中東情勢を注視して安全が確認され次第イランに渡航したい。また、最終的にイラン渡航が難しいと判断せざるを得ない場合には、バーレーンやインド、インドネシアなどシーア派の居住する別の地域への渡航を検討する。
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