研究課題/領域番号 |
23K18626
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
エスカンド ジェシ 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 招へい研究員 (00964678)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 日本ファンタジー / 異文化受容 / トランスメディア性 / 専門雑誌調査 / カルチュラル・ブラインドネス / ゲーム研究 / 文化の盗用 / 異文化の商品化 / ファンタジー / ポップカルチャー |
研究開始時の研究の概要 |
申請者が「データベースファンタジー」と定義する現代日本の独自なジャンルは、中世ヨーロッパを模範とする架空の世界が舞台となっており、登場するモチーフは世界各地の神話や民間伝承、宗教などに基づいている。近年では、極めて自由な異文化のモチーフの描写が問題視される事例も散見される。 本研究では具体的に、現代日本ファンタジーに見られる異文化受容が文化の借用か、或いは盗用なのかを見極めるべく、詳細な事例研究を通じて検証を行うものである。文化の盗用は日本ではあまり問題視されてはいない一方、市場にまで影響を及ぼしている。こうした現状を踏まえ、その異文化受容の持つ特性を検討し、問題性を導き出す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本独自のファンタジーにおける異文化受容の特質を深掘りすることにある。初年度は資料収集、現地調査、作品分析を進め、多メディア作品や専門雑誌の記事、解説、批評を分析対象とした。80年代初期から導入された多くのモチーフが、アナログおよびデジタルゲームを通じて日本ファンタジーに取り入れられ、日本独自な変容を遂げたことが確認できた。当時のゲーム専門雑誌、攻略本、広告などのパラテクストと、ファンタジー辞典、異国の神話・伝承に関する書籍を収集し、これらのモチーフの解説の分析を進めている。 問題含みの外来のモチーフを再利用する作品群の調査を通じて社会的な影響について考察し、豊かな異文化受容の経緯についても検討を行った。社会学や文学の視点を交えた上で、日本ポップカルチャー、特にファンタジーにおける異文化受容の独自性に焦点を当て、その成果を学術会議で発表した。具体的には、2023年12月3日に社会文化学会の全国大会で「日本のコンテンツ産業におけるカルチュラル・ブラインドネス:異文化受容関連の問題例を中心に」と題して発表し、また、国際研究会 "Cultural productions and practices in contemporary Japan"(Populations Japonaises CRCAO-IFRAE主催)で「日本ファンタジーにおける文化の盗用の多様性:創造的借用から異文化の商品化まで」(原題は英語)と題して口頭発表を行った。 さらに、理論的枠組みに記号論を取り入れたアプローチを学術論文にまとめて提出し、現在は審査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究において重要な役割を果たす専門雑誌の収集とその分析は、中古市場における供給の問題により遅れが生じている。さらに、研究スタート支援の研究種目の初年度が実質6か月であるため、所属機関の変更が原因で研究費が一時的に利用できなくなり、このことが研究進行に支障をきたしている。
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今後の研究の推進方策 |
必要な資料の収集を継続し、その分析を進めていく。資料分析に加えて、現行のトレンドを把握するための現地調査も継続する。さらに、業界関係者・創作者とのインタビューや対談の実施を予定している。これらの活動による成果は、研究会や学術論文の形で発表する予定である。
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