研究課題/領域番号 |
23K18658
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
チン ロ 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授(任期付) (00978851)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 漢字廃止 / 国語施策 / 近代化構想 / 日中両国の相互認識 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近代日本(明治期)と中国(清末民初)における漢字廃止・国語施策を代表とする言語政策についての再検討を行い、近代化と「言語・文字」の関連という視座から、明治期の日本と清末民初の中国が抱いていた近代国家をめざす多様な構想の一端、および「言語・文字」の認識や政策から見た日中の相互認識と関連性を考察・比較・解明するものである。
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研究実績の概要 |
今年度において本科研では、「言説・メディアレベルと国策レベル」の「漢字廃止」という問題設定から、明治期の日本と清末民初の中国における漢字・国語施策をめぐる多様な人びとの言説と政策を整理し、分析を行った。得られた結論を三つの国際学会で発表し、論文一本が掲載された。具体的には、1)2023年7月に上智大学で開催された国際学会The Asian Studies Conference Japanにて「How did Chinese Characters become an issue in Meiji Japan?」というタイトルで、江戸期の教育と幕末以降の漢字廃止論から探り始め、漢字がいかに明治日本の問題になったかを発表した。2)2023年9月にシドニー大学で開催されたJSAA-ICNTJ 2023 Conferenceにて、「How did Meiji Japan eliminate “Kan”from a perspective of language policy?」というタイトルの発表で、国語施策の問題意識から、漢文教育改革や漢字廃止論といった人為的・制度的に「漢」を排除する動きを中心に分析を行った。3)2023年11月にヒューストン大学で開催された国際学会Southwest Conference on Asian Studiesに「Re-examining Meiji Japan's modernization through Chinese characters」というタイトルの発表で、明治日本と清末中国における異なる「近代化」の問題を漢字廃止という視点から洗い出し、その異同を提示した。論文「北村透谷と漢文体―江戸と明治の「学び」と「教育」―」において、漢文体で示した江戸と明治の連続と断絶、そして近代日本における「漢文」という「知のつくられかた」の分水嶺を提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
3回の学会発表と論文一本の実績ができ、一年目の考察により、江戸と明治の連続と断絶について漢字の視点から見解を再提示することができた。また、漢字を媒介とする清末中国と明治日本に関する論文を執筆しており、2024年度中に学術誌に発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
漢字認識と識字率、出版・印刷技術の実態を調査し、以下の二点を中心に考察し、論文にまとめる。 1)前近代と近代の連続の視座から、江戸期の国学者と蘭学者の漢字認識を整理する。また、江戸時代と清朝における一般民衆の識字率・教養についての総合的考察を行う。2)テクノロジーの面において、漢字をどのように印刷物に写し出すかという技術上の問題に着目し、タイプライターの発明など近代の出版技術の発展が近代日中における漢字と言語の改革案に及ぼした影響を検討する。
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