研究課題/領域番号 |
23K18668
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
山田 祥子 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (50975844)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ウイルタ語 / ウイルタ / サハリン(樺太) / 先住民 / 記述言語学 / ツングース諸語 / サハリン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、サハリン(樺太)島の先住民言語の一つであるウイルタ語(ツングース諸語に属する)の話者から採録された一次データ(主として音声データ)を整理し、文字起こし・分析を加え、音声・グロス・訳付き原文資料として統合し公開する(=資料化する)ことを目指す。音声データから音韻表記・グロス(文法注記)・訳までを一括して資料化することで、記録・記述のプロセスを利用者が検証できるようにする。
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研究実績の概要 |
サハリン(樺太)島の先住民言語の一つであるウイルタ語(ツングース諸語に属する)の話者から採録されたデータの整理・分析を進めた。これまでに研究代表者が行ってきた音韻表記・グロス(文法注記)・訳の全体的に見直し、令和6年度に「ウイルタ語文例・テキスト集」(仮)を公開する下準備を行った。 特に北方言の特徴とみられる未来表現、および、動詞接辞-lu-の用法については、先行記述や周辺の状況を視野に入れて考察を深めることができた。この考察の成果の一部は、日本北方言語学会第6回大会における口頭発表(令和5年11月)、『北方言語研究』14号(令和6年3月)における研究ノート発表で報告した。 並行して、ウイルタ語をとりまく状況、すなわち、ウイルタ民族の言語活動に関する考察も行った。ウイルタ語はいわゆる「消滅の危機に瀕した言語」で、事実として話者数は僅少だが、2008年に書記法が定まって以来、ウイルタ語で書かれた出版物が続々と世に出ている。このことを周辺の状況と対照しながら整理・考察し、『北海道言語文化研究』22号(令和6年3月)における論文として報告した。 以上2種類の考察では課題も明らかとなり、今後の研究の道筋を照らすことにもつながった。また、言語特徴と言語活動の状況を相互参照しやすくするために、令和5年度にまとめようとしていた「ウイルタ語入門ガイド」(仮)を上述の「ウイルタ語文例・テキスト集」(仮)とともに相互参照しやすいかたちで発行するのが良いと判断し、「ウイルタ語入門ガイド」(仮)の発行を延期した。 以上のように、計画していた発行の延期という点で「やや遅れている」が、より精度の高い成果を令和6年度に出すための下準備を十分に進めることができた。作業や考察をとおして記述上の課題がいくつか明らかになったことも、研究活動スタートとして重要な成果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では令和5年度に「ウイルタ語入門ガイド」(仮)を発行する予定だったが、言語特徴や言語状況についての記述を見直して、令和6年度発行の「ウイルタ語文例・テキスト集」(仮)とともに相互参照しやすいかたちで発行するのが良いと判断した。結果、当初の計画よりも成果物の刊行に遅れをきたした。 また、日本国内に在るウイルタ語の一次データについては引き続き情報収集中である。 以上のとおり、計画の遅れがあるが、研究目的を達成するための準備を進め、文献調査、資料(データ)整理、口頭発表・論文発表等には十分な成果があった。この結果を踏まえ、「(3)やや遅れている」と報告する。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度に引き続き、データ整理を進めるとともに、成果物(「ウイルタ語入門ガイド」(仮)および「ウイルタ語文例・テキスト集」(仮))の発行に向けて準備を行う。可能な範囲で前年度に行った専門的な考察も継続するが、令和6年度は成果物の発行を何よりも優先することとする。
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