研究課題/領域番号 |
23K18678
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
岡村 明夢 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教 (50981627)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 第二言語習得 / 非対格動詞 / 過剰受動化 |
研究開始時の研究の概要 |
英語を第二言語として学ぶ学習者が、非対格動詞を誤って受動態にして産出する誤り(過剰受動化)が観察されており、この誤りを引き起こす様々な要因が先行研究で提案されてきた。しかし、複数の要因を比較した研究はあまり行われておらず、どの要因が最も強く過剰受動化の誤りに影響を及ぼすのか、今のところわかっていない。本研究では、これまで提案されてきた、過剰受動化を引き起こす複数の要因を比較し、どの要因が最も強く過剰受動化に影響するのかを解明する。また、誤りを引き起こす要因について明らかにした上で、非対格動詞や受動態を学校英語教育においてどのように指導していくべきかを議論する。
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研究実績の概要 |
本研究では、非対格動詞の過剰受動化を引き起こすと考えられている4つの要因(①主語の有生性、②概念的に認知可能な動作主の存在、③動詞の完結性、④対応する日本語動詞における他動詞用法の有無)の内、どの要因が最も強く誤りに影響を及ぼすのか明らかにするために、日本語を母語とする英語学習者に4つの実験を行った。各実験では、調査対象外の要因の影響を慎重に排除しながら、2つの要因を比較した。令和5年度は、実験3(要因①と要因④の比較)と実験4(要因②と要因④の比較)を実施した(実験1と実験2は既に実施済み)。 実験3の結果、主語の有生性は過剰受動化に影響を及ぼすが、対応する日本語動詞における他動詞用法の有無は、主語が有生物の場合のみ影響することがわかった。また、実験4では、概念的に認知可能な動作主の存在は過剰受動化に影響を与えるが、対応する日本語動詞における他動詞用法の有無は動作主が存在する場合のみ影響していた。このことから、日本語動詞における他動詞用法の有無は、主語の有生性や動作主の存在よりも弱い要因であると言える。 4つの実験の結果から、主語の有生性が最も強く、概念的に認知可能な動作主の存在が2番目に、動詞の完結性は3番目に強く過剰受動化に影響するが、動詞の完結性は誤りに影響しないと結論づけた。しかし、非対格動詞の訳出の仕方は学習者によって異なり、日本語への訳出のヴァリエーションが、誤りが起こる割合に影響を与えている可能性も示唆された。よって、日本語訳タスク等を実施し、非対格動詞の日本語訳がどのように影響するのか明らかにすることが今後の課題となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画である、実験3と実験4を令和5年度に実施することができた。また、実験1(要因①と要因②の比較)と実験2(要因②と要因③の比較)の結果をまとめたものと、実験3の結果をそれぞれ論文(Theory and Practice of Second Language Acquisition、教科開発学論集)として発表することができた。現在は、実験4の結果について学会発表(全国英語教育学会)、論文投稿の準備を行っている。さらに、日本語への訳出の影響を調べるため、日本語訳タスクの作成を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
非対格動詞を含む文の日本語訳タスクの結果を分析し、日本語への訳出が過剰受動化にどのような影響を及ぼすのかを考察する予定である。このタスクの結果・考察を、全国英語教育学会で発表することを計画している。また、実験で使用した動詞の自動詞用法の知識を問うタスクを作成し、学習者は自動詞に関してどのような知識を有しているのか調査することを計画している。さらに、自動詞や受動態に関する文法指導の有効性を確かめる調査の準備を進める予定である。
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