研究課題/領域番号 |
23K18685
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
荒川 聡美 早稲田大学, 文学学術院, 客員次席研究員(研究院客員講師) (70979856)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 日本霊異記 / 説話集 / 近世における受容 / 説話の受容 / 日本文学 |
研究開始時の研究の概要 |
『日本霊異記』は平安時代に成立し、その本文は漢字で記されているが、江戸時代には、それを漢字片仮名交じりの本文に書き換え、内容を簡略化した「仮名本」が出版されている。 本研究では、この「仮名本」という再構成化された説話集を研究対象とし、平安時代の『日本霊異記』との比較をしつつ、江戸時代における「仮名本」の位置づけを明確にすることで、『日本霊異記』の受容状況を明らかにする。具体的には、①改変事項から見える「仮名本」の編纂意図の分析、②「仮名本」と他文献との関わりという2つの視点にもとづいて研究を進める。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、江戸時代に刊行された『日本霊異記』の「仮名本」を研究対象とする。「仮名本」は、平安時代に成立した『日本霊異記』を、漢字片仮名交じりの本文に書き換え、内容を簡略化した版本であり、この「仮名本」という再構成化された説話集を、平安時代の『日本霊異記』と比較しつつ、江戸時代における「仮名本」の位置づけを明確にすることで、『日本霊異記』の受容状況を明らかにすることが目的である。具体的には、①改変事項から見える「仮名本」の編纂意図の分析、②「仮名本」と他文献との関わりという2つの視点にもとづいて研究を進める。 このうち、②「仮名本」と他文献との関わりという課題を中心に研究を進めた。まず、「仮名本」の出版された当時の状況を知るために、版元である茨木多左衛門に関する情報や先行研究を収集した。また、江戸時代以前の作品を版本の形式で出版するという活動の実態を把握する手がかりとして、版本の刊行状況を整理し、江戸時代を中心とした『日本霊異記』の関連年表を作成することに着手した。 さらに、国会図書館の提供する次世代デジタルライブラリー等のデータベースを活用し、「仮名本」に言及している資料の有無を調査し、国学者が「仮名本」を閲覧している新たな記録を見いだした。このことを踏まえ、『日本霊異記』の江戸時代における立ち位置を改めて確認する必要性を考慮し、先行研究をもとに、国学者の『日本霊異記』の写本の所蔵状況の整理をおこなうとともに、他作品の注釈書における『日本霊異記』への言及状況をデータベースを使用して調査した。 以上のような近世における『日本霊異記』の概要について調査した内容を、「近世における『日本霊異記』」と題し、早稲田大学スーパーグローバル大学創成支援事業国際日本学拠点の客員次席研究員報告会にて口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題における、①改変事項から見える「仮名本」の編纂意図の分析、②「仮名本」と他文献との関わりという2つの課題のうち、①については、資料の収集と整理を中心に研究を進めているため、平安時代成立の『日本霊異記』との比較を通じた詳細な改変内容の検討はこれから着手する予定である。 一方、②の課題については、写本および国学者の著作との関わり、江戸時代の出版状況について、資料収集と調査を進めることができ、研究成果を口頭発表で報告するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究として、当面は現在取り組んでいる②「仮名本」と他文献との関わりという課題を引き続き進める。江戸時代における国学者の著作や所蔵写本について、マイクロフィルムやデータベース、諸本調査を通じて確認し、「仮名本」や『日本霊異記』の受容状況を把握するとともに、江戸時代の出版活動についてもさらなる情報収集を進め、他文献との関わりが見られないか調査する予定である。 また、①改変事項から見える「仮名本」の編纂意図の分析については、平安時代成立の『日本霊異記』の本文と「仮名本」の本文の比較について、以前調査した内容を再度見直す作業を行う。また、「仮名本」における類型表現に着目し、記述方針を分析することも試みる。
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